書物蔵

古本オモシロガリズム

江戸期、商業出版(町版)の部数相場

どうやら江戸時代、商業出版物の部数相場は、2〜300部だったらしい。

何といふても昔のことだから、初版の発行部数は二、三百部も出れば相当の好成績であったものらしく、千部も発刊するやうな事になった時には、『千部振舞』と称して、時価の職人店員等を一同引連れて、北野天神に参詣し、酒肴を饗応して祝った位であったと云はれてゐる。(京阪書籍商史 p.68)

ベストセラーあつかいなのは1000部。
一方で、板木は最大で3000部しか刷れないとぞ。

板木の生命は、勿論平素から取扱如何にもよるが、大抵は三千部ぐらいで、五千部はよほど困難であった。板木が磨滅するほどに売行があり、更に之を再板或は三板も彫らなければならない程であった時には、其の書肆は其の書籍のみによっても一時に富を作ることが出来るが、これに反して予定部数が売れなかった時には、入費さえ償却出来ないのみならず、莫大なる損害を蒙って、終には産を破るに至るのである。

つまり再板されてれば、3000部以上発行されたということになる。