書物蔵

古本オモシロガリズム

公共が国会電子本のターミナルになるって、その先はあるの?

『文化通信』(20012.11.12)p.?に「国会図書館電子納本ロードマップを示す/日図協第98回図書館大会」とて、島根の大会でNDLで電子本の納本やら流通やらを国会さんが報告したのだそうな。

廣瀬課長補佐は、著作権法改正によって、同図書館が電子化した資料のうち「絶版」「入手不可能」なものは、公共図書館などに対して公衆送信が可能になったと報告。

あそこのやってることって、よくわかんないんだよねー(・∀・`;)
ってか、しばらくまへ、大学図書館のひとがこんなことをいっていた「著作権法やその解釈をいじるったって、べつに図書館界全体のことを考えてくれてるわけぢゃないんだから(だから、たいしてありがたいものではない)」。「単館行動主義」っぽいなぁ。って、『図書館用語辞典』にも『単館主義』という項目で載ってるね。
この、公共図書館をNDLデジデジの出先ターミナルにするというのは、まあわるいこっちゃないが、展望があるのかな。わちきには、長尾構想の寸づまりにしかみえんが(゜〜゜ )
これが、存在意義のかすんできた県立などは国会の地方支分部局*1にしてしまへ、ちゅーぐらいの展望のものでやってんなら、いーんだけどね。

公共の展望は?

わちきが県や市町村の財政担当なら図書館にこういうねぇ。

デジデジおおいに結構。では、デジデジで閲覧できるようになった分、紙の図書を買う予算はカットします(・∀・)

そのような意味も、現場ではでてきそうな悪寒。。。(σ^〜^)
結果として公共図書館とやらは、PC置き場になりさがるだけのような。。。
で、この図式って、じつはこの先があるの、わかるよね。
公共図書館は、これを廃止する。
あっ、そーか。それが長尾さんの真の狙いだったのかぁ(゚∀゚ )アヒャ(ウソ)
もちろんこれと異なる図式を描くこともできるわけだけど、だれも描いとらんね(゜〜゜ )

ディストピアSF

たとえばサ(この先、18歳以上の成年のみ閲覧すへし)。
大抵の人間は、性交をするけど、二次元でも欲情(とその解消)はできるんだから、リアル性交を禁止する、とゆーよーなもの。二次元を供給するから、三次元は禁止という政策が、いま国会図書館がやっている閲覧政策。
そりゃあ、やたらにリアル性交はするもんぢゃあ、ないけれど、二次元で大半の用が足りるから、三次元はまったくどのような場合にも禁止というのは、これはディストピアSFだよねぇ。
わざわざ国会が来日させたロジェ・シャルチエが、「電子図書館派のうち邪悪なる一派は、電子化された資料を見せないようにする」http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20110202/p2といっていた、その邪悪なる一派が国会さんというのも皮肉なり*2
おそらく正しい図式は、国会デジデジは各家庭、スマホなどで見られるようにする。本の現物は国会やら県立やらに行けば、見られるようにする。著者やエディターのたつきは別途考える。これが実は、唯一の「正しい」図式。デジデジ見るのに図書館行けっちゅーのは、過渡的なものでしかないよ。この過渡のもののために現物の貸借や閲覧を廃止するのは基地外沙汰だよなぁ。
そーゆー意味では長尾構想が、長期的には「正し」くはあったのだった。それが寸づまりになって、過渡的現象を引き起こしているというように見えるなぁ。

*1:支部図書館といふのは、図書館史トリビアだわね。って、こりゃージャーゴン中のヂャーゴンで、実定法用語ではあるが、法学なんて実定法を「がふりてき」に解釈する体系でしかないからねぇ。。。それよか、そのブランチ(分館)に、直轄領とそうでないものがあることなんかが、このブランチ・ライブラリー制度のキモですわなぁ。

*2:もちろんシャルチエは、電子図書館自体にダメ出しをしているわけではなく、電子本があればリアル本は見せない、というオプションを批判している。ただ、電子本礼賛派は多分に歴史や文化にうとい機械屋だから、コンセプトづくりに失敗するんだよねぇ。これは自動車や軍用機の開発失敗事例と同じ図式である。