書物蔵

古本オモシロガリズム

日本図書館業界に無い決定的なあるモノ

めづらしく社会経済的な議論

ネット上にをる図書館クラスターで、めづらしく工学でない社会経済的な議論が噴出してをる。まあ、指定管理者の導入をめぐる議論といっていい。

そろそろ民間は図書館にはそぐわない,って単純にいうのはやめようぜ - yuki_0の日記 http://d.hatena.ne.jp/yuki_0/20120723/1343003611

でこれを受けたのがこれ。

「民間企業は図書館の運営には向かない」論のウソ - 図書館学徒未満 http://d.hatena.ne.jp/aliliput/20120724

で、わちきは指定管理者の是非についてここで述べるのはちと避けるのぢゃが*1、この議論に関連して、ある事を書いておきたいと思ふ。
→画像はイメージ:大正14年ごろの新聞業界誌「新聞及新聞記者」

むかーしむかし、あるところで…

むかーしむかし、ギョーカイなるものに参入したことがあったときに、Y氏,,,ぢゃなかったある人に言はれたのは、

図書館雑誌って、ギョーカイシとして読めばいいんだヨ

と。
わちきは、「(戦前や昭和30年代までの図書館雑誌とちがって)本文が、何も考えてない純粋マッスグ君の、言いっぱなし感想文にすぎないあの図書館雑誌に、そーいった読み方があるのかぁ(*゜-゜)」とおほいに関心したことですた(・∀・)つ
けど、これって、あくまで、「として読める部分もある」ってことで、図書館業界には業界誌がない。
業界誌の起源はおほむねどの業界も大正期から昭和前期にかけてにあり(団体機関紙や通信・内報などが業界誌化したさうな)、その時期に業界としての成熟度が足りなかった図書館業界は、結局、平成の御代に至るまで、ギョーカイシを持てていない。

ギョーカイシがないのが、図書館業界の一番ダメなところなんだよなぁ

これはMさんにいはれて、「なるほど(゚∀゚ )アヒャ」と思ふたことなんだけれど、ほんたうは、

間宮不二雄が業界誌をやるべきだった

のだ。
いや実際、戦後の間宮は、戦前のあの、本質的ハチャメチャさに比べて(結果として)鳴かず飛ばずと言ってよく、それは歳だったからサともいへやうが、しかしそれでもあのハチャメチャさを生かす道があったとすれば、戦前の図書館研究だかの復刻などしている暇があったらバ、図書館業界誌をこそやるべきだったと思うのだ。彼のあのハチャメチャさがあれば出来たよ。
もちろん、学校図書館法成立時に収賄が行われたスキャンダルだとか、春秋会事件で金森が横死した顛末とか、JLAの私生児たるTRC捨て子事件とか、一度ならず二度までもAV事業に失敗しちゃうJLAの放漫経営体質だとか、「図書及び図書館史」改め省令科目「図書・図書館史」で絶対に習えない事件のことが少しはわかったろう、ということもあるけれど、それはわちきの趣味にすぎん。
もっと切実に困るのは次のことがらぢゃて(¬_¬)つ

金メのことがわからない

いったいほんたうは1冊パーいくらで納入されとるの、とか、フィルムかけの数百円の分だけ事実上の値引きで、そこがいいからどこぞに落ちるんよ、とか、ブックディテクションは一切合財で300万だの400万だから本なんて多少なくなってもいーんよとか、カネ目のことが具体的にわからない。図書館雑誌をひっくりかえしても、カネがでてこない。JLAの職員の給料も、わからない、ってこりゃあ余計か(^-^;) とにかく金や、それにまつわる数値がわからない。これらはゲンバとやらにあるわけだけれど、そのゲンバだって、べつに天地神明に誓って公明正大に妥当な数値をにぎっているわけでもないわけだし、その数値はきちんと出版物になってこそ、議論の対象になろうといふもの。いっくら図書館雑誌やナントカ情報学会誌読んだって、わかりゃーしないわいね。けど、金目のことがわからん専門職って、専門職*2なのかあ?

論点がわからないままに

今回の指定管理者制度なんかもそうだけど、図書館雑誌がJLAの機関誌のままであるおかげで、きちんとやり玉にあがるべき論点がはずされてしまう。その団体にとってイデオロギー(まあ、信念でもよい)的に、

論ずるまでもなく、邪悪なこと

は論じられないからね*3。JLAや友の会が、論じるまでもなく、悪いことと思っているから、指定管理者の良い面も悪い面も、あるいは、なぜそういったものに置き換えられる図書館が出てきたのかも、わからんままになってしまう。
その意味ぢゃあ、『ず・ぼん』は、最初はかの新左翼『としょかん批評』の流れをひいたよくわからん同人誌だったのが幸いして、特に沢辺社長の介入が強くなってからは、論点を論点として持ち出してくれるようになってきた。でも、さすがに業界紙までにゃならんかしらん。

ついでにゴシップもわからない

純然たる個人のゴシップというものもあろうが、実はそれに、なんらかの組織や業界の矛盾やひずみが表現されていたりもする。たとえば醜悪なるセクハラ事件が実は社長の内部管理放任と下僚の担当が偶然にも同じ傾向の人がそろってまるでまともな詮議がされなかったことによるフレームアップだったりとか。あるいはまた、津波が押し寄せたときにまっさきに逃げちゃったのが副艦長だったということとか。そのくせあとからやってきて、留守部隊長の妥当な処置を後ろ向きと非難したりとかいう情けないエピソードとか。
どれもつまらない人が起こしたつまらない事件ではあらうが、組織の劣化や重要人物の能力の方向性を表してもいる(だからほんとは、欄外に1行ぐらい「○○という噂」として記録されてよい)。
悪口(批評)のないところにはまともな社会も、ないんよ。事実、北朝鮮には悪口はないでしょ。かはりに称える言葉があふれとる。この世の理想郷だよね。でもある種、悪い意味で心やさしい心情左翼は、こういった世界を準備しちゃうんだよなぁ。
その点、出版業界には『新文化』『文化通信』などギョーカイシがあるから、うらやましいなぁ。このまへの、トーハンの会長だかが院政をひいでイエスマンたちを操って、結果として左前になった『新文化』の記事なんか、よかったぢゃないの(σ ゚ー゚)σ いや、トーハンにはよくなかったろうが(σ^〜^) きちんと記事になるんだなぁと関心したことですた(¬_¬)つ

*1:そのほんたうの理由は、わちきは悪の直営護持派だから(*゚ー゚)ゞ→ここがロドスだ。ここで跳べ!(2):千代田図書館の場合 http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20080108/p1

*2:もちろん、個人としてではなく、その業種全体に蓄積がされる図式になっとるか否かとゆーこと。

*3:○○委員に、「なぜ千代田が話題にならんの?」と聞いたら、「みなが話題にしなかったから」と。いや、あのね。。。( ´-`).。oO(こりゃダメだ)