昭和初期、陸軍パンフレット『国体の本義と其強化の提唱』がいろいろと日本社会に影響をおよぼしたといふが。。。
ん?(・ω・。) いまも館界では一枚のパンフレット(ほんとはリーフレットのような)が業界をさわがせてをる(σ^〜^)
こんな記事を見た。
「MARCをめぐる現状(上)(企画):MARC利用者サービス問われる”あり方”」『文化通信』(3984) p.〓 (2012.1.23)
「JAPAN/MARC」と「民間MARC」 国立国会図書館の取り組み パンフレットと一元化 パンフレットの反響と問題点
これはほぼ1面を使う巨大記事。
マアクとは?
MARC(発音:マーク)っちゅーのは、一定フォーマットの書誌データ群のことと考えればよろしかろ。たまにまちがえてMARKと書く人がいるからご注意。
民主日本には、
- Japan MARC 国会製
- TRC MARC TRC製
- NS MARC 日販図書館サービス製
- OPL MARC 大阪屋製
- トーハンのMARC
んー「日書連MARC*1」はどうなったのだろう。そいからTRCが東販と別れたあと東販はどうやってMARCを創ってるのか? そこいらへんのことを解説したものを見んなぁ。
海外では官製品、つまり国立図書館のデータがあるきりなんだけど、民主日本のバヤイ、CIP(シップ:cataloging in publication)、つまり出版前にデータを取る仕組みづくりに失敗して、また、自由主義経済でもあるんで、たくさんのMARCが乱立した。単純にいうと民製品は早くって(1日ぐらい?)官製品は遅い(1ヶ月から3ヶ月?)って感じ。ただ官製品は非流通本も入っているのが(研究や図書館的には)強み。質はまあ、いまいちばんいいのはTRCでは。
陸軍パンフ?
この記事によれば、パンフレット『国立国会図書館の書誌データが平成24年1月から無償で使えるようになります。』(http://www.mojikatsuji.or.jp/NDLHP.html)が10万部も作成され、全国の教育委員会、公共図書館に配られたとか。これは2011年4月のことで、これが波紋をよんでいるのだそうな(とは直接は書いてないが(σ^〜^))。
拙ブログでも一度とりあげたが、震災まえのハナシだの。
さういへば、知り合いの館長さんがあきれてた。「あんなもの――判断ができる図書館現場ならともかく――教育委員会に送りつけられたら、コマルよ(・∀・`;)」と。国会データ(Japan MARC)を使えばシステム費がロハに近くなり、その分、資料費に回せるぐらいのことが書いてある。タイトルに巨大文字で第一図書館省の名があったから、「スワ、第一の第二ツブシかΣ(゜∀゜;)」と思ったら、よくよーく見ると発行主体名に省名がないという怪文書。世が世なら「出版法」で取り締まらりちゃうのら(σ^〜^)
ほんとに資料費にまわるのか?
わちきが思うに、費目が違えば本庁に召し上げられてオワリだと思うがの。べつに資料費なぞ保証されんよ。現場の館長さんはそこらへんのことを心配したらしいの。現場を知らん管理部局が予算を召し上げるのに力を貸しているだけぢゃん、というわけ。
「パンフレットの反響と問題点」という項では主に第二、ぢゃなかた( ^ - ^ ; )TRCの会長さんなどが反論している。J/M(のデータ)を買ったところで、本そのものの装備などは別途やらねばならんから、トータルコストは民間データをうわまわるよ、というもの。
「MARCをめぐる現状(下)(企画):NDLの書誌情報提供その影響は?」『文化通信』(3985) p.8 (2012.1.30)
図書発注・購入・装備 一体と分離:公共図書館の現状とMARC MARCのこれから図書館のこれから…
文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長に聞く:1国1書誌データが望ましい
こっちの記事では図書館現場たる逗子市立図書館と浦安市立図書館の現場の声。んー、逗子市はたしかガラスばりのスケスケ図書館だったよーな。浦安は住んでたころたまーにクルマで行ったなぁ。そういへば常世田さんJLA辞めちゃったね。20年前に一度、講話を聞いたことがあるなぁ(*゜-゜)
論点はわかるが比較がでけんなぁ
それはそーと、逗子市立はTRCでマークと購入装備を一緒に頼んでいるそうな。一緒でないと生じるデータ管理の手間にさく「専属の人員を充てるだけの余裕はほどんどない」と。
対して、NS-MARCを購入しとる浦安市立では、図書購入は地元の書店組合に頼んでいて、その意味では国会データへ切り替える余地はあるそーだけど、「迅速性」がないとダメだよと釘をさしている。んー、結局いちばんの論点、
- データ管理の人員を図書館から出せるか
- TRC/MからJ/Mに「安かろう」で切り替えた際の問題点はないか
がいまいちわからんのーこの記事では。
ん?(・ω・。) 鈴木宗雄元先生みたいなものか?
「理事長に聞く」のほうではなかなかオモシロい指摘が。
「活字文化議連」がデータ一元化を決議したのは、J/Mが遅延で使われないため、民間Mを買っていると知ったからとか。資料費が減らされているからデータを安くして資料費にまわせ、という価値判断らしい。
――国立国会図書館も重い腰を上げたんですね。
(略)自分たちの作業が遅くて、使い物にならないジャパンマークであることを認めたのです。(略)欧米諸国は1国1書誌データなのに、日本は企業ごとに違った書誌データが作られ普及していることも認めました。(略)
へー。国会が認めた認めたって、イッタイどこでどんな形で認めたんだろう…(・o・;) 国会の理事会かなにかで館長さんが認めたのだらうか…?
ってか、肥田元先生の言い方、なんとなく国会議員が委員会で省庁をやりこめる言い方のような気が…。って、あっ、そーか(゚∀゚ ) この表現読んでて気づいたんだけど、ひだ元先生は、de facto、族議員としてのキノーを持っちゃってんのね(σ・∀・)σ もちろん村上正邦元先生のような意識的なものではないだろーし、現役議員先生でもないから、そんなもん無視すりゃーいいという意見もあるけれど、事実上、結果的にそーなってをるとゆーわけですな。いやサもちろん先生の図書館愛の純粋性は100%認めるところですが。うむ。うむうむ。
館界ジャーナリズムの欠如
昨今、図書館史から書物史への展開を図り、ほとんど研究されとらん業界誌・紙について思うところがあるんだけど、館界の不幸は業界誌がないところ、とつねづね思うのだ。
こんな重要な案件に、図書館専門誌のどれひとつとしてマトモな論説をのっけないとはとは。
さういへば、森サンと話した時に、業界誌はカネのながれ、つまり館界では図書館用品・建築業の間宮商店がぽしゃったのが影響してないか、と言われた記憶が。
業界誌の前駆には、機関紙、通信、内報の3つがあるんだけど*2、館界には、JLA機関誌があるっきりだからのぅ。ホントなら、間宮商店あたりの商報*3が(そんなんあったっけ? なかったような)もしあれば、それが業界誌に育った可能性もこれあり。ただ、間宮はミョーに学究志向だったんで、もし存続してたとしても、ムズいかな。
ホントーはJLAの『図書館雑誌』あたりが、どーも中途半端なイデオロギー性を発揮してしまって、業界誌的な機能を果たせていないのが大変に困ったところである。どーせイデオロギーを持たざるを得ないなら、もっと明確に、そう例えば学術団体なのにものすごい『図書館界』みたいにやってくれれば、少なくとも問題点というか論点の存在だけはハッキリするから、そっちのほうが結果としてありがたいなぁ。
ん?(・ω・。) 結論は?
ハナシもどすと、記事そのものには結論めいたものはないなぁ。また、学校図書館の貧相ぶりとか、地元書店の話とか、陸軍パンフの背景となっていそうな事柄の題材だけは出てくるのに、これぢゃあ、なにがなんだかワカリマセン、ってか、まあ、『文化通信』にとっちゃ畑違いの記事ゆえ無理もないが。
ひとことでいってマークの質は。
早くて質も均質で中の上なのがTRC-Mで、遅くて質は上の下から下の上までバラバラで、最近、質が下降気味のJP-Mということでよろしいか。
わちきも昔はJP-Mのほうに期待したこともあったんだけど、最近のNDL-OPACをめぐるテータラクを見ると期待できんねぇ。
これも質に入るかしれんが、速さっちゅー点ぢゃあ、やはりJP-MはCIPでないことから逆立ちしたって民間マークに勝てんし、質も昔は必ずしもTRCなどには負けない部分があったのに最近は明確に政策順位が下がっている*4からねぇ。
このまへお茶を飲みながら話したんだけど、結局、
TRCに全国書誌データ作ってもらえばいーぢゃないの
というのが識者やわちきの結論である。
ただなぁTRCのデータはあまりに早くつくるんで、主題分析が定型にながれる(=新主題の捕捉に失敗しがち)なところがあるからなぁ。そこは気をつけてほしいなぁ。