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小野田寛郎さんと図書館史:残置諜者と暫置本

小野田さんが死んだ(@_@;)

16日に亡くなった小野田寛郎さんは陸軍中野学校が生んだ「残置諜者」なれば、永遠に死なぬなどと思ふてゐたが…(;^ω^)
わちき、幼少のみぎり、近くの公園で「小野田さんごっこ」をして遊んだことを思い出す(*゜-゜)

「残置」→ざんち→「暫置」

小野田さんと図書館は直接の関係はまったくない。
なれど、わちきが数年まへ、ある人から聞いた話と関係があるんだなぁこれが(σ^〜^)σ
小野田さんはルバング島でどんな任務を30年間遂行していたかといへば、「残置諜者」だったことは、こりゃあ皆知っておる話。敵占領地に残ってゲリラ戦をやるという役割。
これとは全然別に、ある図書館でいはゆる「滞貨」がたくさんあった。「滞貨」というものは、短期的には忌み嫌われるが、長期的には実は健全な図書館経営では必要ですらあるもの。
ところが「滞貨」というは、あまりにもネガチブな表現形である。
そこで、滞貨を組織的に把握する際に、なにか別の用語はないかとていろいろ言葉が探された際に、こんな言葉が発明された。

暫置本(ざんちぼん)

これが実は、残置諜者の残置から来たというのは、これはどこにも書いてない話(σ^〜^)

同日追記1 バックログ

猫猫博士ならぬ、マルクス博士から次のご下問があったので少し調べてみた。

暫置本は初めてですがunclassified booksのことですか?それと紛失図書を「亡失」と今でも図書館界は言いますか?
https://twitter.com/MarkWatermanPhD/status/424790893535571968

まづ「暫置本」ちゅーのは、どうやら国会図書館限定のジャーゴンらすぃ〜(^-^;)
あそこの連中、ギョーカイ標準の用語とジャーゴンの使い分けを意識しないフシがあっからお気を付け〜(*´д`)ノ
で、おそらく業界的には、「滞貨」とか「滞貨図書/資料」といふのだらうけれど、これが意外なことに、用語事典類に出ないのよ(゜〜゜ )
思ふに、TRCなど、図書を売るのと書誌データを売るのがセットになってきて、1990年代以降、自館で図書を整理(=資料のデータを採録する)ところがなくなれば、そりゃ、滞貨という現象は発生しなくなるわな(。・_・。)ノ
いまググったら、なんと1990年代のカレントナントカがヒットして、それによると、

backlog

まあ、一般語「売れ残り」なので、逆に専門辞典に出ないのかすらん(゜〜゜ )

追記2 亡失→紛失

そいから紛失本のことだけど、これは戦前には亡失と呼ばれていた。1958年の文部省学術用語集では、

lost book 亡失図書 逸書(書誌学)

となっていたのが、1997年の新版では、lost bookには逸書しかあてられておらず、かわりに、

missing materials 紛失資料

が立てられている。JLAの用語集では、

lost book

となっているが。
ちうごくでは、

逸失図書

といふらし。
わちきの感覚では、50歳以上の司書なら、「ぼーしつ」といはれて、「あゝ、亡失ね」ということは、言はれて理解はできるというところかしら。今は、紛失かなぁ。不明本ともいうかもしらんが。。。