書物蔵

古本オモシロガリズム

短大と「科学」:「図書館科学会」の活動

編年的に関係書籍をならべてみる。

書誌

  • 『講座新図書館学』教育出版センター(1976-1978)
  • 『図書館科学会会報』No.1(1979年5月20日)〜no.8(1983年7月10日)

※『講座』への批判 例)『みんなの図書館入門:用語編』 図書新聞 1981

  • 『全国短期大学紀要論文索引(1950-1979)』4vols. 埼玉福祉会 1981-1982
  • 『図書館科学会年報』昭和57年版(1983)〜昭和59年版(1985)
  • 『図書館科学』 1号(1986.6) - 5号(1990.10)
  • 『全国短期大学紀要論文索引(1980-1984)』日本図書センター 1986
  • 『全国短期大学紀要論文索引(1985〜1991)』日本図書センター 1989-1996
  • 『社会科学書誌書目集成』55vols. 日本図書センター 1996-1998

いわゆる「講座もの」で大々的に出発し、研究誌をつくったりもするが、研究に進まずに、福祉団体などをつかって索引事業を起こしつつも、ネットの普及などから専門書誌の復刻などへ軸足をうつしつつ活動休止へ、といったように読めますな(゜〜゜ )

活動評価

はじめにことわっちゃうけど、わちき、この「図書館科学会」については、いささか冷静(冷徹?)な評価をしたいと思っている。それが決してご本人たちに喜ばれずとも。
まずもって、館界左派(図問研)のマジメさんたちから批判される一方、学界の本流(専攻のあるとこ)からも批判されたということがあり(伝聞)、それはたしかに、つっこまれるだけの弱点ないし欠点を持っていた。
いちばん象徴的なのは、旗印に掲げた「図書館科学」という項目が、「講座」の「用語集」にない、ということ。せっかくの造語(新造・訳語?)なのに。
『講座』の「図書館通論」などをザッとみても、やはり「図書館・科学」を掲げる理由付け(理論)が見あたらない。あるのは歴史と実務の概略と制度論。
これを見てみると、わちきなどにも、library scienceよりも、library economyへ戻ってしまっているかのように見えてしまいますが。

図書館科学とは

日本図書館業界トリビアで困ったときの「図書館用語辞典」だのみ

図書館科学(としょかんかがく) library science
(略)
 従来の図書館学が、技法を中心としているのに対し、図書館科学は現実の歴史的・社会的条件のもとでの図書館活動の発展法則をつかもうとする点にその本質がある。(略)

図書館学へも「をも見よ」参照があり、そっちみると、やはりlibrary scienceの訳語とあるから、おなじ語の、ちがう漢語訳で、若干スタンスが違うように当時(1980年前後)は考えられていたというわけ。
この項目が何を参照して書かれたものかが不明なのはちと困るが。少なくとも「図書館・科学」という複合語があったということはわかる。
で、ひとことでいうと、この「図書館・科学」をやっていたのは短大の司書課程の先生たち、ということ。