書物蔵

古本オモシロガリズム

春秋会とは何か:日本図書館史上に於ける

(昼下がり、東京古書会館近くの喫茶店ニテ…)
ヌ:だいたい春秋会って何ですか?
書:んー、そりゃあPR誌と云はうか…。『読書春秋』って言つてネ、読書雑誌を発行する団体なんよ。
T:読書春秋』ならタマに即売会に出ます。

『古い雑誌から』が生まれた場所

書:んー、最近は出ないねぇ。有名な森銑三の『古い雑誌から』は元々この雑誌に連載されたもんなンよ。書物雑誌、書評誌でもある。まぁご本人らはもっと広く「文化雑誌」と考えていたやうだが……。
ヌ:へーぇ。なるほど(・o・;) いったいいつ頃のハナシですか?
書:んーと、昭和24,5年あたりだったかな。この春秋会は最初、任意団体ではじまったんよ。途中で財団法人化されたんだケド、出版のほかに野球場の管理とかモロモロ、国会圖書館がらみで金を扱うような事業をやってたいはゆる「外郭団体」なんよ。いまでもいろんな省庁に残っとるでしょ(σ・∀・)σ
ヌ:それがまたなんで「事件」に?

事件:稲テッチャンも巻き込まれ???

書:いやサ、それよ(。・_・。)ノ たいしたこともできてない当時としちゃあフツーの団体だったンだけど、そこで不正経理が行われ、館長らが私服を肥やしていると国会の委員会で糾弾されたのだわさ。昭和33年のことで、翌年、春秋会は解散。
ヌ:ええっ!? すごい事件ぢゃないスか。
書:いやいや、新聞の社会面に、立横5cmぐらいの記事になったぐらいの、世間的にはそんなたいした事件ぢゃーあ、ない。
ま、内部的にはものすごかったらしく、稲テッチャンなぞは「ぼくは読書春秋に書いてたから、あとで関係者だなんて言われて不本意だったよ」ぐらいのこと言ってたけどね。たしかに稲村さんも頼まれて書いてただけだから、同情するだすが。
んー、でもよく考へたら、人が一人死んでをるなぁ。金森ナントカっちゅー当時はチョー有名な人だったんだが…(*゜-゜) ってか、直接の死因ぢゃないけど因果関係はあると思うゾ。
じっさい当時、そう認識た人がいて、これは心グループの一員だった人で、昭和四十何年かの心に手記めいたことを書いとるね。たしか、岩淵, 兵七郎, 1900- || イワブチ, ヒョウシチロウとかなんとか。
けど、事件の顛末についてハ、もう7,8年もまへの学術論文であらかた解明されとるし、なればこそ日本の図書館史好きなら誰でも知っとることで、今頃騒いでもしょーもないことなんよ。
そんなことよりも、この団体の本来的意義とか、廃止された結果についてのほうが重要なんよ。
ヌ・T:(*´д`)?ほへー(・o・;)?

思わぬ結果

書:拙ブログで先月、「「春秋会事件+国会図書館」だけではツマラナイ(*´д`)ノ」などと言ふたのはそこぢゃよ。実はこれについてハもう何年もまへから考えてをって、たとえば2005年に「TRC,日外の存在は,国会図書館の外郭団体「春秋会」の消滅という補助線があってはじめて説明できる」などとも書いとるが。
T:それって書物蔵さんがホットメールブログにいた頃では?
書:さうさう。あの頃はオタどんとも知り合ったばかりぢゃったが…。ん?(・ω・。) いまもカヲは知らんかぁ…。
それはともかく。じつは拙ブログの一等先頭の記事予告一覧に「春秋会と日外アソ:戦後図書館業界の蹉跌」とあるやうに、もうそれよりもまへから意義付けについては気づいてをった。ってか、じつはある人の示唆で思いついたのだけれどね。
(かきかけ)