書物蔵

古本オモシロガリズム

おしおきだべー!`・ω・´)o

なにやら中京のほうで出版法制史がさかんになりつつあるので、わちきも影響されて、こんな記事を見付けた。

  • 「警視庁管下に於て行はれたる出版物並新聞紙納本取締実績」『出版警察報』(63) p.216-229 (1933.12)

いまの文化財保護を目的とした法定納本は、罰則があるけど適用されたことがない(し、法技術上できない)。だから納本義務を果たさなかった出版者(個人を含む)が罰せられたという話も聞かない。
けど、戦前の出版法、新聞紙法のもとでは、納本しないとおこられちゃう。
それでいて、結構、みんないいかげん。いまでいうと、飲酒運転みたいなものかしら。。。
だから警察はたまに取締って、おしおきをするのぢゃ。上記記事はそのお仕置きの記録。出版社や取次、書店をしらべて、納本されてない出版物を見付けたら、「おい、こら」とやる。まさしくオイコラ警察。
で、記事に何十点もそういった本の書誌がならんでおるんだけど、すこしだけ抜き書きしてみた。
建築写真類聚. 第8期第20輯 カフェー内部集. 巻3 / 建築写真類聚刊行会編輯 . -- 洪洋社 , 1933
 奥付年月日 S8.10.18
 納本年月日 ナシ
 配本年月日 S8.10.18
これはなんと、納本がなかったもの。流通したのに出版社が納本をサボってたという事例。そのせいか、各地の図書館にはあるのに帝国図書館にはなかったみたい。
現代小説の創作と鑑賞 / 木村毅著. -- 橘書店, 1933
 奥付年月日 S8.10.25
 納本年月日 S8.10.23
 配本年月日 S8.10.19
こっちは納本よりもまえに売っちゃったもの。「いいよいいよ、どーせ、わかりゃあしないよ」ということで売られたのだろうなぁ。実際、たまの手入れがなかったら、奥付より1週間前に配本されてたなんてゆー事実は、未来永劫、残らなかったのだし。

「特殊取締」がそれにあたるらし20180218追記

警保局の連中は、同時の事務用語を作っては使ってゐるんだが、「特殊取締」といふんが、県警ごとに行ふ一斉店頭チェックだと、奥平先生が発達史で指摘しとられるね(゜〜゜)