書物蔵

古本オモシロガリズム

学問の 結果にまで顕はるる 雑書の効用 : 学説形式論

昨晩深夜、もりやうすけさんと近代書誌学史、谷沢永一論につきて長電話してゐた際、「あれ、つづきあるんでしょ(σ・∀・)σ」といはれ、ならば、とて書くなり。

イノショー先生の新研究会

実はこのエントリ、オタどんがものせる、ツイッターなるつぶやきに触発さるるものなり。

井上章一「学説形式にしめる大学の役割」『本郷』5月号は、関東史観と関西史観の対立を敷衍。中々面白し。
http://twitter.com/#!/jyunku/status/7002902771231129

『本郷』は購読をやめてしまってをったので、あわてて図書館で立ち読み。すると、中国史学における時代区分や英国史産業革命の主体やら、さまざまな学問分野において、東大系と京大系で論説の結論が違ったままになってをるのだとか。学問ちゅーのは客観(ないし間主観)がタテマエなので、これはおかしい。おかしいが、おかしいままになっとる(orなってしまふ)こと自体を研究対象にセバ、おもしろかろうということらスィー(・∀・)
これを単なる偶然とか、大御所同士の確執とかで説明しつくさずに、なにか他に残る要因があるのでは、というのがイノショー先生の見立て。ゆえに先生は、研究会を〈やらないか〉、と提唱。メアドなど記載し、なにやらほんたうに公募してるっぽい。

イノショー先生のルサンチマン再論

普段、もりさんがゆーてをることと同じ主題なれば、参加などを提案してみたのであった。その際、エントリの話になって、イチバンの違いは、学問方法のひとつ、資料環境ではなからうか、といふ話をふってみた。とゆーのも、イノショー先生自身が、それでかなーり苦労したらしいのだ。

もちろん、イノショー先生の苦労は、ご自身の研究対象が近代風俗史という近代以降の雑本を大量に必要とするものだったから、なのであって、これが古典書誌学や、仏教運動とかなら、関西でもできるはずなわけで(って先生も言っている)。
森さんに聞いた話では、東京帝大の国語学が理論にはしったのは震災による資料焼失があるとか。
学説形成の結果に、形成の途中経過、具体的には資料環境があるとするなら、
日文研の図書館にはエロ本… ぢゃなかた(^-^;)、「(裸体?女性の)写真集」があると、数年前おしへてもらったことだったが…

井上章一先生、資料論関係論のみリスト

  • 国会図書館でのつらい日々(わたしの読書日記)」『オール読み物』1993年12月 p.340-341 ※『東京百事便』紛失のこと。閲覧票の見本に使われたこと。両事件は後々まで。
  • 「基調講演 本を求めて」『国公共図書館研究集会報告書』 2001年度 p.21〜23 ※未見。
  • 「基調講演 私の図書館利用法」『私立大学図書館協会会報』118 201〜213 2002年11月 ※いちばん重要。
  • 「図書館の怪人--知の宝庫に隠棲する珍談・奇談」『現代』39(5) 174〜181 2005年5月
  • 「下町のおっちゃんは声に出して読んだ! 昭和の性典「カストリ雑誌」の謎を追う」『諸君』40(2)236〜248 2008年2月 ※対談相手は出久根達郎。昭和30年代に月島庶民(男性)はどのように古本屋でエロ雑誌を買い、読んでいたか。
  • 井上章一井上章一的京都案内 隠れた名所 古本屋をハシゴする--和綴じの老舗、仏教書専門店と、なかなかの個性派がそろう」『文芸春秋 』86(5) 臨増)54〜66 2008年4月 ※ビジュアル重視文章少ない。黒猫堂の店舗内風景カラー大版。
  • 「マンガ文化 『龍神沼』を読んだころ」『表現』 2 40〜43 2008年5月 ※未見。


(かきかけ

国立中央図書館のあらまほしき資料保存施策

あたかもよし(?)、激甚きわむる東北大震災によりて、図書館界でも空想視されとった資料保存方策が詮議さるることであらうと思ふ。
フツーの図書館が、(いま)価値のある本から救おうとするのは、まぁ、これはよい。例えば、一般書をうっちゃって、郷土資料、地域資料から救うとか、(古い)貴重書、古典籍から救うとか。
けど、国会図書館がそのよーなアタマではアタマ悪いとしかいいようがないんだよなー。
帝国図書館では、整理区分、保存区分として、A級、B級、C級、