書物蔵

古本オモシロガリズム

資料保存論が台湾で始まった理由

最近、総合誌や専門誌を読まない。読むのは出版社のPR誌。これがいーのだ。
ふたつの意味でよくて、時間がゆったり流れていること。というか、長期的視点で書かれているものが多いこと。もうひとつは、具体的に教えられることがあること。
今回は後者で発見があった。
『図書』に中野三敏先生がやっておられる「和本教室 25」で、今回は「在外和本事情」

今一つ特筆すべきは、ソウル大の本には、和本にはつきものと思っていた虫損がほとんど見られないことである。調査の折、館員に何気なく聴いてみた所、逆に「エ、本を食べる虫なんているんですか」と大真面目で質問されて絶句してしまった。すべては気象条件のしからしむる所ではあろうが、一瞬今後、和本の収蔵はすべからくソウルに限ると本気で思いかけたほであった。(p.49)

そして、この部分の直後に、台湾大学で凄い惨状が語られる。これはとっても有益な情報。といふのも、なぜに日本固有の資料保存論が台湾ではじまって朝鮮でなかったかが一目瞭然。台湾愛書会ネタですな。
一方で大陸の旧満鉄・満洲がらみの図書館をまわってみたが、「自由な調査を行うにはほど遠い環境」であったということで、具体的なことは語られていない。