書物蔵

古本オモシロガリズム

古本屋地図の解題書誌(改訂)

 古本屋(古書店、古書籍商)を図上にプロットした地図。多くの場合、古本屋の所在地、連絡先などの名簿を併載する。店頭で掘出しをしたい古本ファン、古書蒐集家などに好評であったが、新古書店ブックオフなど)の発展による「街の古本屋」の衰退、ネット専業店の発展、google mapによる代替機能提供などにより、古本屋地図として代表的だった『全国古本屋地図』の改訂版が出なくなっている。

全国を収録するもの

 2009年現在、『全国古本屋地図』の代替として使われている。ミステリファンでなくとも役に立つ。かつてネット上で公開されていた情報を文庫にかきおろしたもの。地図、所在地の記載はあるが電話番号はない。

 紀行だが地図つき。閉店情報もあり。

 1990年代中はほぼ毎年改訂版が出ていたが、2001年を最後に出ていない。部分改訂が『日本古書通信』に雑誌記事として掲載されている。

 1980年代まで断続的に改訂されていたが、1990年を最後に途絶えている。初版のみ紀田順一郎による編集で関東圏のみ。

  • 『全国主要都市古本店分布図集成 昭和十四年版』雑誌愛好会編 京都:辻井甲三郎 50p. 謄写版

 京都在住だった雑誌創刊号蒐集家、辻井甲三郎が全国(含.外地)の古本好きに呼びかけて編纂したもの。極めて珍しい戦前の古本屋地図で、各種OPACからは図書館所蔵が確認できず、八木福次郎氏所蔵のもののみ確認されている。一部転載が沖田信悦『植民地時代の古本屋たち』(寿郎社 2007)と『神戸の古本力』にあり。辻井甲三郎については現在、調査中。

地域限定のもの

 小冊子、一枚もの、雑誌の特集号やムックがある。図書館や新刊書店などと併載されることもある。小冊子や一枚ものは非売品が多い。<東京>

  • 『東京ブックナビ』東京地図出版編集部 東京地図出版 2009.1

 東京ブックマップの、事実上の後身にあたる? 『ブック・ナビ東京』というものもあった(2005)。

  • 『東京ブックマップ』同編集委員会 書籍情報社 1985-

 新刊書店、図書館も含む。代表的なもの。2005-2006年版(2005.3)を最後に出なくなった。

 秋の読書週間にあわせて、毎年出ている。

1960年、神田古本まつり(第1回)で来場者に配るため作成されたのが始まり。裏面に古書店名簿がある。

  • 『文京区古書店地図』 東京都古書籍商業協同組合文京支部 200? 1枚もの 分図:本郷通り拡大図
  • 『早稲田古書店街地図帖』一枚物の地図
  • 『おに吉 古本案内』

 (2)  2004.6発行 15p. 詳細地図付2004年5月調べ 荻窪西荻窪、吉祥寺の古本屋地図あり
 (3)  2005.10発行 15p. 詳細地図付2005年10月調べ 荻窪西荻窪、吉祥寺の古本屋地図あり

  • 『中央線古書店地図』 [東京都]古書籍商業協同組合中央線支部 2005.8 薄物 (中央線支部報;特別号)
  • 『中央沿線古書店ガイド・マップ』 東京古書籍商協同組合中央線支部

 広く東京西部をカバー。

  • 『高円寺・阿佐ヶ谷古書店マップ』 東京都古書籍商業協同組合杉並班 2002.11 1枚もの

 高円寺駅周辺、阿佐ヶ谷駅南阿佐ヶ谷駅周辺

<関東・東海・甲信越>

  • 『東海古書店地図帖 愛知・岐阜・三重』地図帖製作委員会 名古屋古書組合 2001年 110p.
  • 『書物国漫遊案内 群馬県古書店地図』 群馬県古書籍商組合 2002.10 1枚もの

 前橋、高崎、桐生、太田、沼田、大間々、大泉、伊勢崎の分図より成る

  • 『かながわ古書店地図帖1993』 神奈川県古書籍商業共同組合 1994.3 32p. 14図 店名索引つき
  • 『埼玉県古書店地図』 埼玉県古書籍同業組合 1994.10 79p.

 1ページに1店舗、1近隣図<関西>

古地図風。1978年に作られ1982年に改訂版が出たという。第3版は1989年。手許にある最新版は古地図風ではなくなっている。

 編集部に古本者がいるらしく、古本屋特集がある。ただし地図はデザイン的にすぎ、使いづらい。

 1985年に組合創立七十周年を記念してつくられたもの。

歴史地図

参考文献

「古本屋巡りのガイド・マップ」『古本屋の手帖』八木福次郎 東京堂出版 1986.8 p.21-24 (「新編」(平凡社 2008)には載録されていないようだ。
「これらのほか、東京の早稲田地区や、札幌、北九州などで作られたことがあるが」とあるので、わちきの行ったことのない北海道や九州でも1970年代から出ていたのでしょう。