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古本オモシロガリズム

ビジネス支援批判?

『カイシャ意外史:社史が語る仰天創業記』村橋勝子著に「ビジネス支援」批判があるという。チト意外。著者は元経団連ライブラリアンの社史研究家。『出版ニュース』(2009.1下旬)p.19の紹介記事によれば、製薬会社エーザイ創業者の内藤豊次は55歳で脱サラ。帝国図書館の洋雑誌から新薬のヒントを得たという。んで、「私〔村橋氏〕は「図書館がビジネス支援をしようと思うのなら、専門書を充実させるべき」というのが持論だが、内藤の読書・図書館利用は、それを証明しているだろう」という。
ビジネス支援批判については、前川御大のものが有名らしいんだけど、これはどーゆー関係になるのかな(゜〜゜ )
いま手許の 『公共図書館の論点整理』「第2章 ビジネス支援サービス」を適宜要約すると、
1) 流行に乗るのは許せない(前川、田井)
2) 私的利益を公共図書館が支援するのは許されない(前川)
3) 貸出以外に力を注ぐのは許せない(前川)
4) ニーズはない(田井)
5) 日本の公共図書館にそんな力はない(前川)
と5つの論点があるようで、村橋氏の論は5)にはまる。
「だからビジネス支援はしちゃだめ」と前川御大はいうわけだが、日本資本主義総本山の専門図書館出身の村橋氏は「だから専門書を」となるわけですな。改めて見ると、4)と5)が批判としてかなりイイ線いっていることがわかる。もちろん、わちきは、「だからしちゃだめ」という立場はとらんが、推進派はニーズの掘り起こしと資源強化にはげまねばならぬ、ということですな。ちなみに昭和前期のビジネス支援はニーズの掘り起こしに失敗したみたいだよ→「大日本帝国のビジネス・ライブラリイ」http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20071023/p1