書物蔵

古本オモシロガリズム

超オモシロが学術書を読んだ

日本主義と東京大学 / 井上義和. -- 柏書房, 2008.7. -- (パルマケイア叢書 ; 23)
某所で「はじめに」を立ち読みして、妙にオモシロかったんで、買ってみたら大当たり。こんなにオモシロい学術書はひさびさである。
主題は、昭和10年代の学生運動なんだけど、この学生運動ってーのが、右翼! ってのも当たり前だのクラッカー。昭和10年前後に左翼は弾圧で壊滅してしまって、当時の「政治的に正しい」言説空間では右翼運動しか思想運動がありえなかったわけで。
右も左も、当時は国粋的右翼的な言説を標榜して社会活動をしていたわけであるが、本当にまじめに右翼思想を考えていくと、実は反戦反軍、反体制の思想をつちかうことができた、という話。
主人公は小田村, 寅二郎 (1914-1999) ‖オダムラ,トラジロウ。端役には団藤重光やら丸山真男やらの有名どころで彩りが。
前半はまじめな政治学者、矢部, 貞治 (1902-1967) ‖ヤベ,テイジが小田村に難詰されちゃって、もうたいへん。頭のいいまじめな右翼学生が、西洋学説先生を追い詰めるの図。