書物蔵

古本オモシロガリズム

プロパガンダとは、ことむけやわす!!!

ここ2,3ンち、もう何年もまえの柏書房ホムペでネット連載「毒書亡羊記」(佐藤卓己)を読んでいるんだけれどオモシロ。こんな連載があったなんてはじめて知った。

広報=宣伝=プロパガンダ=マスコミ

そんなかで「情報統制の佐藤」先生が(笑)、水野, 正次 (1907-) ‖ミズノ,マサジというオモシロな人物を紹介しているのがある。水野は元新聞人で上局嘱託。戦後は自分の団体とか持ってたみたい。左翼に転向した右翼かと思ってたら、戦後に左翼っぽくなった元左翼の右翼だったんだって(ややこし)。蓑田キョウキとつるんでたのに蓑田が反東條だと弾圧されたとたんに蓑田らを批判するなど、変わり身は早いとも(・∀・)
で、佐藤先生は連載のその回では「広報=宣伝=プロパガンダ=マスコミ」を文献実証的に述べているんだけれども、その前振りで水野の説を紹介している。それが超オモシロだったのだ。

やまとことのはの、ことばあそび

水野マサジの論は1950年代に香内三郎氏が引用し、それをまた佐藤先生が引用してんだけど、

戦時中、外来の「宣伝」propagandaを日本主義的に解釈すべく『古事記』『日本書紀』での語源探索(言葉遊び、あるいは牽強付会)がはやった。その一例として水野の『思想決戦記』が引用されていた

んだって(゚∀゚ )アヒャ propagandaの日本主義的解釈ってすてき! これぞ、「皇道プロパガンダ学」!`・ω・´)oシャキーン(元ネタは、香内三郎「日本の政治宣伝」南博編『広告・宣伝』光文社1959(応用心理学講座第四巻)という)

じつは日本もやってた香内先生

香内先生はこう紹介しているという。

語源さがしでは「言趣平和」(ことむけやわす)があげられる。どうも呪術めいて恐縮だが、私のせいではないので、説明すると、これは「まつろわぬものを、言葉、説得によってやわらげ、まつろわしむること」で、これが「思想戦」の本義とされたのである。(略)水野正次という人によると、それは、さらに一歩進めて、神武天皇東征の詔、「天業を恢め弘べて天下に光宅るに足りぬべし」―「天業恢弘」に求められて行く(水野正次『思想決戦記』)。そして、それはすぐに一書に曰くの「八紘一宇」にまでのびてしまうのだ。」

香内先生が「私のせいではないので」と断りを入れているとこがますますオモシロ(゚∀゚ )アヒャ
コウウチさんってば、単行本は西洋出版史しかないけど、こういった日本のメディア史の単行本がぜひ欲しい!o(^o^)oわくわく
ところで香内先生の奥さんは、わちきがおっかけておる国民読書研究の研究できわめてセンスのよいものを書いておられるというのは、ここだけの秘密(・∀・)

ことばあそびなのかことばなおしなのか(^-^;)

コウウチさんは「ことむけやわす」を牽強付会やことばあそびとしており、まあそれはそうなわけではあるけれど、かといって、学問に概念操作は必要なわけでして。
ただ、右派左派を含め戦後体制の中で生きる我々には、これらのことばはワケワカランね。でも、これらのことばたちを、やわらげてくれる偉大なレファ本があると聞いたよ(×o×)あれは何年まえのことだったか…(*゜-゜)
って聞いたのは例の友人からだけどね(o^ー')b それからずっと探し続けてるんだけど、ないの。どっかのオモシロ出版者が復刻してくれるといいんだけど。まだわちきが拾ってないので秘密じゃ(・∀・)

水野サンはどこへ

ところで水野サンの略歴だけど、佐藤先生の連載に三一新書の著者略歴から転載されとるが、当然のことながら没年がない。NDL-OPACの名称典拠にもない。
こんど調べてみよーっと。
追記)物故辞典などを軽くあたれど見あたらず。もしかして… ご存命?