書物蔵

古本オモシロガリズム

発禁に遭っていた島影さん

NDL-OPACから島影さんの著書一覧(って、そのほとんどが人生論だからどーにも)をつくってみたんだけど、なかにひとつオモシロそーなものが。
戦争と貞操 / 島影盟. -- 大東京出版社, 昭和12.11
タイトルがオモシロ、と思ってたら、call no.が、「特501-322」となっておる。ん?、と手許の資料*1をみると、「特501」は米国から返還された元内務省の発禁本だとある。
あわてて『昭和書籍雑誌新聞発禁年表』(1981)をみると、たしかに昭和12年11月の、単行本のとこにデータがあった。
戦没者寡婦貞操を、自由主義的観点より論ず」るをもって、「安寧禁止」とされたとある。なんだ、「風俗禁止」じゃないのね(^-^;)
しかしこの『発禁年表』、著者索引がないのはなぜか。あれば思想史、社会運動史方面でタイヘンに役立つはずなのに。誰か出してくれないかなぁ(*゜-゜)
索引のない本を出したら発禁ニスヘシ!(・∀・)/
ところで若いころの島影さんについて記述した文章がある。

島影盟君は、夙に社会問題に深き興味をもった特志〔ママ篤志?〕の青年学徒である。
(『医道革新論』(昭12)の諸岡存による序文)

やっぱり、若いころの島影クンは、戦争や医療について本まで出しちゃう社会派クンだったのね。
それがまぁ、「青年時代、文化運動に参加し、また、演劇に関係したりもしたが」(1964)と回顧するまでになった。とくに、この「したりもしたが」という表現にとくに注意してみれば。
よーするに、「社会運動に参加したりもしたが、今となっては若気の至りであった」という心境になったということではないかな(*゜-゜)
してみるとやはり、アナキスト島影盟は、のちの通俗人生論者島影盟と考えるべきであろう。

*1:『国会図書舘百科』p.80など