書物蔵

古本オモシロガリズム

産別機関誌「ゼンニット」!!!㌧デモめずらか資料

『全日図:全日本図書館員組合機関紙』(1)(1949.7.20)
発行元は、東京都港区赤坂1ノ1国会図書館内 全日図情報宣伝部 編輯責任者 浜野修三 とある。
ほぼB4版のガリ版印刷で、表裏の一枚もの。
表面は「最近の世界勞〓〔にんべん+力〕情勢」とか、情勢論とかアジテーションなんでつまらないのだが、裏面の下のほうに㌧デモめずらか記述これアリ。
かういふ時に、古本者たるシアワセを感ずるのでありまするなぁ(・∀・)/
「情宣部ニュース」として、「最近、戦時中に跋扈した国粋主義的人物、〔が〕(略)たくみに地方の文化団体や日教組なぞに食いこんでまだ根絶されずに温存されている」とし、「就中吉田内閣になってからこの傾向が全面的に強化したようである」が、「まだ正確なデータが集つていないので(略)こんな実例を見聞したら実情を出来るだけ詳細に報告してほしい」とお願いがある直後にこんな記事が。

愛媛県図書館長荻山某というもと朝鮮総督府図書館長とかいう前厂のある人物が最近同館の主席司書三宅千代治君に対して、何かと弾圧迫害を加えているという情報を耳にしている。元来此の軍国主義時代の生残り者を推薦した図書館協会にもその責任はあるのだが、それは暫らく不問に附して目下、日教組へ申込んで実情調査中である。はつきりしたデータが集まり次第あらためて声明を発するか又は他の方法によつて、かゝる反動的分子には徹底的な糾弾を加えずにおかないであろう。

朝鮮から「逃げてかへ」った荻山秀雄タンのその後ってのはもやもやとしてたんだけど、なんとまぁ、愛媛県立の館長時代の記述が残っていたとは! それも、

反動的分子

という悪口とは(゚∀゚ )アヒャ
「徹底的な糾弾を加え」られちゃったのかすら…(´ー`;)

追記 たいへん! くにがまえにトが(×o×)

画像をよく見やれ。
ガリ版であるから版下は手書きなわけであるが…
ん?(・ω・。)

囗(くにがまえ)にト(カタカナのト)

ではありますまいか(×o×)
これこそは、秋岡梧郎発明(自称)とされる国字(の略字)ではありませぬか!!!`・ω・´)oシャキーン

国会囗書館内

とあり、囗+トで、ここでは圕でなく圖の略字として使用している。
秋岡梧郎は、囗にトは漢字「圕」の略字で、自分が戦前、図書館講習所の板書用に創った文字だといっておったが、実際の用法としてはかなり早い段階から、単に「圖」の略字としてガリ版などで使われていたことが、この『全日図』で証明できたというわけ(゚∀゚ )
編集人の浜野修三って人は、『全国図書館職員録(昭和30)』によれば、東大出で国会図書館が出来て数ヵ月後に就職し、戦前の図書館歴はなかった人のようである。