書物蔵

古本オモシロガリズム

左翼人のよくないところ

2005年ごろ、さかんに国民読書がらみの資料を集めていたことがあった…
それも図書奉行(鞆谷純一)タンが同じ主題で論文を書いたので頓挫してしまったのであるが…
そのころのファイルを見たらオモシロいのがざくざくと。

戦後、平野[謙]氏は評論家として、目ざましい活躍をしたが、戦時中情報局に勤めていたことについては、あまり触れたがらなかった。平野氏の評論活動は、戦時中の共産主義者などの過誤を追及することに重点を置いていたので、その本人が情報局にいたというのでは、工合が悪いと思ったのであろう。
 そして氏は、やむを得ず前歴に触れねばならないときは、自分は決して熱心に情報局を志望したのでもなければ、勤務に熱中したのでもないというような書き方をして、そのころいろいろと彼の面倒を見てやった井上課長を激怒させた。平野氏は、戦後井上氏は社会から葬り去られっと思い込んで、安易に書いたのだろうが、どっこい井上課長は生きていたのである。(杉森久英「回想・翼賛会のころ(25)」東京新聞(1986.12.23))

杉森は、「翼賛会は情報局と違って、警察的権能もなければ、政治活動もできない公事結社だったから」と、情報局のほうを重くみている。