書物蔵

古本オモシロガリズム

財団法人・大日本図書館協会

戦中の読書運動にオモシロな証言を残した杉森久英
昭和20年4月に(財)大日本図書館協会に就職。
昭和21年10月にはやめちゃってる。
で、このことを、例えば有山タカシなんかは、あたりさわりなくサラリと述べているけど、ホントのところはどーだったのか。
大政翼賛会前後』(1988)は、話が終戦時でいきなり終っている。
で、これの続編にあたる『戦後文壇覚え書』(1998)をこのまえ拾ったので読んでみたら。

「進路」という雑誌についてすこし触れておくと、「進路」は文学雑誌ではなく、もともと総合雑誌だった。私がどうしてその雑誌のへんしゅをするようになったかというと、それまで勤めていた日本図書館協会を、早い話が、クビになったからだ。そこの主人公が反動的で、私は気に入らなかった。ここには長くはいられないなと思っていたところ、あることで主人公と衝突し、それでは辞めますといって辞めてしまった。(p.145)初出「原稿・稿料余聞」『文藝』(1996冬)

(・o・;)
でも、この16年前にはちょっと違うことを言ってるよー

初めことわっていたんです。それまで僕は大日本図書館協会にいたんです。ところが、どんどんどんどん物価は上がるのに月給は上がらないんです。図書館協会は金がないんですよ。それで、初めことわってたんだけどね、年末になるし、協会はつぶれそうだし、しかたがないから、やりましょうというんで、小林さんのところいいににいったのは昭和二十一年の暮れかな。
(p.180)初出「戦後文学の証人」(『週刊読書人』(1980.9.22-)

ん、でも、よく考えたら上記の2つの話は両立するような気がするよ。
これで杉森さんには、聞きたいことはほぼ全部聞けました。合掌。