書物蔵

古本オモシロガリズム

「書評」というコトバ 附.「調査マン」

「書評」というコトバは昭和10年代の新語だと、平野謙中野重治が書いていると、これまた向井敏が書いている(『読書遊記』講談社1987p.88-91)が、ほんとうか?
いま日国を見ると、1969年の用例を出しており、ずいぶんと新しい。NDL-OPACでは、昭和8年の表記がある(『法学研究 第2』岩波書店1933)。
日国第二版は2000年出版だから、NDL-OPAC(の前身)の提供開始(1997)や国会会議録DBの公開(1999)が反映されるには*1
思うに、この両者のDBデータに日国の見出し語を全てブチあてれば、かなりのコトバの初出が遡ることになるのではなかろうか。
もちろん、新聞・雑誌とかの本文レベルのテキストデータがあればよいのだろうが。戦前に遡るもんでは見出しレベルのものしかないのでは。皓星社の雑索(新)もいちおう見てみたが、カクガッコつきの〔書評〕
ばっかりなんで、初出として採ってよいと思えず。国会会議録は(まだ)戦後分しかないから引かず。

最近気になってるコトバ「調査マン」

レファレンサー」ってカタカナ語を調べている途中で、それに近似した概念をいくつかあたったんだけど、「調査マン」ってのがある。
もちろん、単に「調査をする人、担当、調査員」じゃなくて、「資料に依拠しながら調べ物をする方法論を見につけた人」の意味(ちなみに「調査員」は日国で1921年の用例を出してるが、近デジで明治27(1894)年の例がすぐ見つかる)。
戦後、満鉄調査部系の人たちがフツーに使っているから、戦前に遡れるんじゃないかと推測しとるんだけど、戦前、確実に使っていたという用例がみつからず。国会会議録では昭和28年の用例が初出。近デジなし、皓星社(新)なし。
やはり満鉄資料を地道にあたらないと判らないのかも(^-^;)

*1:国立国会図書館手帖2007』同館2006p.42-43