書物蔵

古本オモシロガリズム

ユリイカ「古書の博物誌」を読む。特集外だけれども、千野栄一が「チジェフスキーとコメンスキー」と題して、コメニウスのことを書いているのがオモシロ。
紀田順一郎荒俣宏の対談「古書はタイムマシン」であるから。

荒俣 (略)たとえば古い新聞だとか引き札などのどうでもいいようなエフェメラものも、カンダの古書会館に行くと必ず出ていましたよね。引き札なんか一枚五〇〇円ぐらいでよく買ったんですけれど、あれも一時、江戸東京博物館が全部まとめてなんでも買ったもので、値段が高くなった上に、さらに品がないという状態になってしまいましたね。

洋古書買いのアラマタ先生ならではですな「エフェメラ」なという用語を使うのは。

荒俣 (略)もちろん情報源としての図書館は非常に重要で、今度三一書房から刊行される『紀田順一郎著作集」のなかでも「図書館論」や「図書館活用術」というのが大きなポイントになっているんですけれど、やっぱり古本屋さんから教えてもらった部分とうのは、紀田先生の著作のなかでもかなり大きな比重をしめているのではありませんか?

いやサ、愛書家連って図書館をテンから馬鹿にする傾向があるけれど(そしてそれは無理もないんだけれど)、やっぱり図書館をテコにつかった愛書趣味は強いと思うよ。昨今、古本ブームだけれども、図書館も視野に入れた愛書趣味家ってナンダロウさんぐらいじゃないかいな。いや、もうひとりいたか。たしか神保町のオタとかいう。。。
阿部秀悦「書狼伝説」もオモシロ。ってかこれを読みたくてユリイカを探していたのだ。これは小説(らしい)。ただ、モデルがあって、ごく一部では有名な小寺謙吉。紀田先生の本に出てくる「蒐集は熱意ではなくて殺意」の人ね。いろいろとオソロシげなことが書いてある。借りた本を返さないという手法は、実は某御大もやっているらしいと被害者本人から聞いたのはこのまえのこと。ネットをみるとこの小説が筆禍を招いたというがほんとうだろうか?