書物蔵

古本オモシロガリズム

論文集の論文を探すには

まぁこんなことは図書館情報学の教科書に載っていることでしょうが。

本朝にもあって然るべき

ワチキ的には、大昔、ネットのない時代、「異国(とつくに)は<論文集索引>なるものが(冊子で)フツーにある」と習って以来、

1号かぎりの雑誌 フェストシュリフト(festschrift)

ともいうべき「(記念)論文集」の論文をさがすツールが、「本朝にもあってしかるべき」とは思ってました(そーゆー意味では、わちきは<皇道図書館>学しとるんよ`・ω・´)o。いや、<日本主義図書館学>か(^-^;)*1)。
もちろん、それに収録されているのは基本的に「論文」、つまりボリューム的に1冊にはならないけれども、独立した一著作なわけでして、学術的・本質的には*2雑誌に載ってる論文となんら変わりはありません。
ですから、雑索から論文集の論文が検索できても、むしろ自然なことなわけでありますが*3、なにせ単行本というウツワに載ってしまっているため、見落とされがちなのであります。

ツールあれこれ

さて。
今回、日本著作権協議会解散の経緯を追っかけて、たまたまマトモに記述してそうな唯一の文献がビミョーに各検索ツールにひっかかったりひっかからなかったりしたため、それぞれのツールの特性がよく見えました。
よって、ここに(〃^-^)φメモメモしますですじゃ(といきなり口調が戻る)。
一般人がとりあえず論文集の論文情報を確認できるのは次の4つと考えてよろしいのでは。

厳密には、あと、

  • 他の論文の、被引用レファレンス
  • 専門書誌(各分野の専門文献データベース)
  • 著者の個人サイト

なんてのがあるけどね(今回は、イチバン最後のでみつけたのだった)。
実のところ、わちきbk1から見られると知らんかったのだが、kuzanさんのご教授によりけふ知ったのでありまする。「書誌教える友はよき友」とはわちきの弁。
で、あわててbk1を見てみたのだけれど、たしかに探してた論文集も収録され、内容をみるとその論文のデータが出てきた。特に、最終ページの情報があったのは、著者サイトにもない情報だったのでありがたい(って、ILL等で郵送複写を頼むとき、全体でどれぐらいの料金になるかは知りたいからね)。

ふしぎなbk1

ところがぎっちょん、bk1には重大な欠点が。
なんと、論文の標題や著者から検索はできんらしいのだ。
目録カード時代の「内容細目」よろしく、さきに単行本を引き当てて、しかるのちにその本の中になにがあるかわかるだけ、という機能しかないのにいささかオドロキ。
データはあるのに、検索ニーズを検索システムに反映させられなかったことによる失敗とみるですよ。
東大のブックコンテンツはどうか、と当該論文を引いたらヒットせず(´・ω・`) おかしいなーと、単行本を引いたら出てきて、詳細データまで降りてったら、激ワロタ

Contents:
・第1部 意匠法
・第2部 著作権法
・第3部 不正競争防止法
・第4部 パブリシティ権
・第5部 キャラクター
・第6部 その他
http://contents.lib.u-tokyo.ac.jp/contents/cgi-bin/more_print_j.cgi?sid=161384&num=10&st=1&ct[1]=%bc%fe%ca%d5%cb%a1%a4%ce%b8%bd%c2%e5%c5%aa%b2%dd%c2%ea&isbn=4827108013

よりにもよって無意味な階層のみ、コンテンツとして採録しとる(゚∀゚ )アヒャ
マガジンプラスはさすがに、こんなアフォなことになっとらんだろうけど、有料制なので、貧書生たるわちきは引けず(でも、両方ニチガイ系のデータだからあやしいが)。
結局、NDLopacの、単行本検索画面で、本来なら単行本のタイトルをぶちこむ枠に、論題を入れて検索するというのが、現状ではいちばんよい気がする(サブタイトルは引っかからんが)。
あ、そだ。エヌアイアイがやっとるサイニー(Cinii)には、当然あってよいデータなんだろうけど、なし。あそこは自社データを持たず、基本的に「貸席」をやっとるのでそうなるのだろう。

余計な分析ですが

上記はあくまで、現在の「あらわれ」「チャンネル(流通ルート)」の話をしたまでで。
おそらく、データの出所(ほんとうにデータを作っている所)からいえば、どれも、つぎのどれかに系列化されるはず。

  • 国会図書舘
  • 著者
  • 学会(ないし大学)
  • 日外
  • TRC

さあ、どれがどれでしょう(・∀・)

*1:図書館情報学の学界系のヒトにいいたいのは、日本語で書いたり、日本の図書館の研究をしてるあいだは、結局のところ(って米国の伊<普遍的>図書館情報学からみて、どこまでいっても<日本図書館学>にしかならないだろいうということ。

*2:ただ、<日本の現行著作権法の学理解釈の多数派>に従えば、雑誌のほうは次号発売後に全ページ複写可なのに、論文集に載った論文はいつまでも半分までしか断りなしにコピーできませんが。でも、学術論文を新しく書く際に、論文集の論文は半分までしか参照しませんでしたなどというタワケたことは、許されません。ですから、マトモな学者であればあるほど、<日本の現行著作権法の学理解釈の多数派>には従うことができないのです。わちきは、著作権法の専門家なるものに学術的な不誠実さを感じています。いや、むしろニュルンベルク諸法に対するドイツ的誠実さ、か。

*3:実際、日外のマガジンプラスではそう。