書物蔵

古本オモシロガリズム

【図書館雑誌は】競合誌『図書館』【永遠に 3】

市島くんは何も語らず…

雑誌『図書館』との確執をもとめて、オタどんが見てた「春城日誌」を(明治40年の1年だけ)みてみたが。

明治40年
十月一日 (略)晩景家帰へる。図書館雑誌標題を半迂ニ書かせて和田万吉へ投ず。(略)東海三郎、文庫協会雑誌の件ニ付来訪。
十月十八日 (略)印刷中の図書館紀要*1図書館雑誌成る。

早稲田大学春城日誌研究会 「春城日誌-8-明治40年1月〜6月」 『早稲田大学図書館紀要』 (通号 35) [1992.01] 、「同-9-明治40年7月〜12月」(通号 38) [1993.05]
図書館雑誌』についてはとくにゴシップみたいなことは書いてないなぁ(*゜-゜)
太田為三郎の日記とかがあれば、そこに書いてあったのかもしれないが…

斎藤くんは推測を逞しゅうしておるぞよ

斎藤昌三によれば(『書物誌展望』)、

図書館
 この「図書館」は四六倍判で、一部の定価十銭、表装は結城素明氏の筆で半裸体の美人が、長椅子によつてペンと紙とを手にしてゐる図で、

明治40年2月23日発行で、内容は次の14項目であるという。
発刊の趣旨 論説 弁駁の辞 名家訪問録 意見の交換 感想 人物月旦 臍茶録 出版界の風潮 新刊批評 帝国図書館 登館案内 古書解題 新刊図書紹介 古書販売価格

「弁駁の辞」を見ても、創刊早々から『帝国図書館員の本誌の発行を関知せずと云ふは如何なる理由に由れるか』という長題目の下に太田為三郎氏その他の氏名を掲げて当り散らしてゐるのは悲痛である。弁駁の辞が、兎に角この間には相当こみ入つたイキサツがあつたことが推察される。

(・o・;)いったいナニがあったんだろ〜 斎藤をして「悲痛」とまでいわしめるほどに、この、日本で2番目の図書館専門誌は不幸な始まり方をしたんであった…

その他の頁も大半は図書館抗〔ママ〕撃で費やされているが、兎に角この間には相当こみ入ったイキサツのあったことが推察される。

うーむ(゚〜゚ )
ページの大半を図書館攻撃についやす図書館専門誌…
気に入った!(゚∀゚ ) 

ところが…

いろいろ検索したのだが、どうもいまひとつ所蔵館がわからん(´・ω・`)
いや、かつて斎藤昌三が1冊もってたのは上記の本からわかるし、それに、間宮不二雄も1冊持ってたということもわかるのだが。
戦前の図書館学の総合目録(『図書館学及書誌学関係文献合同目録』)に

(Toshokan) 図書館.東:図書館発行所,24.5cm.
  第1巻第1号(明40,1907).38p. 〔以下廃刊〕     間

とあり、間宮文庫(だけが)持っていると書いてある。
だが今、富山県立にある間宮文庫は戦後あつめなおしたものであり、この合同目録に載っているものは、空襲で焼けてしまった…
古い大学図書館などに所蔵されてないとせば、死後、売りたてられた斎藤昌三の1冊が戦災で焼けずに残ったものであるわけだが…
誰が買ったのだろー(*゜-゜)

追記

やはり戦後の間宮文庫目録には見当たらず。

*1:早稲田大学図書館紀要』