書物蔵

古本オモシロガリズム

古い雑誌から:古典社,国民読書運動

どうも二日酔いだったみたい…
それはともかく,表題「古い雑誌から」ってのは当然,森銑三さんのパクリね。
森御大は,大学図書館の書庫をブラウジングして古い雑誌から明治の逸話をひろったんだった…

古典社・渡辺太郎

ついでに寄った雑誌んとこで,これまたありがたい発見。
戦前,『古本年鑑』とかを沼津で出版していた古典社。
沼津で出版業なんて,ふしぎな出版社だなーと思ってたんだけど。
磯野鎮夫「古書に生きた人々」『日本古書通信』(昭46.12.15)p.8-9
これになんと古典社の主人の消息が載っていたよ。

戦前の愛書家なら大方は知っていよう。いはば古書通信のミニ版。毎月「図書週報」を出していて(略)
戦後いち早く立直り「古本月報」を出した(略)
昭和十四,五年頃,沼津では編集も印刷も思うように行かないので,三土社(鳥谷部氏)を頼って上京し(略)
私が昭和三十九年九月沼津に訊ねたが不明であった(略)

戦後すぐの頃は連絡があったけどその後音信がなくなり,昭和39年には亡くなっていたのではという。
そうか…
知りたいことがわかったよ。もうかなり早い段階で不明になっちゃってたんだねぇ。

国民読書運動その時

ついでに,しばらくまえに買った本の初出誌をみてみる…
ってこれは書誌鳥さんの片方さんも確認なすったといっていたから,あまり期待せず…
んー,どこにでもある雑誌だよねーとパラパラ
ん…
キタ━━━━ヽ(・∀・ )ノ━━━━!!!!
これ!これっ!
記述が,記述が違うよ。
ちょこっと違うとこが,とっても重要なんだわさ。
いやー,おどろいた。読むと…
へ? こんな記述あったっけ(・o・;) こりはまた,図書館ゴシップなりっ!わーい
おもわず声がでた(^-^;)

国民読書運動その後

そうだ,これの戦後の評価についても調べてるんだった。おもしろいの1件みつけていま注文中(って当然古本)
あ,でも,あれも見ないと,と思ってたらネットで売ってない… うーむ,と思ったら,じつは雑誌の特集号だということが,ある解題書誌から判明! いやー,先達はあらまほしきことですなぁ。
その雑誌をちぇっくしたら…
キタ━━━━ヽ(・∀・ )ノ━━━━!!!!(またですよ)
これ,まるまる図書館本じゃないの
戦中の読書運動が,きわめてあっさりと,一面的に総括されとる! うーんこれは。さすが戦後民主主義なり。わかりやすくて一面的。
って,こーゆー見方が支配的だったという材料としてとってもつかえるよ。だってこれ書いたの図書館情報学ではかなり有名なひとだもん。

それどこじゃない! 日本レファレンス史のミッシングリンクの最後が!!!

ん?
これ,志智カクロウが書いてるじゃないの…
と見ると…

昭和24年に米人(図書館人ではない)が「telephone service」なる言葉を使うのを聞いた。通訳はなんだかわからなかったようだが,自分は,図書館サービスをこれからどうしよーと思ってたんで,これだ!と思った(要旨)

ははぁ。なるへそ。「古今東西,森羅万象に答える」ってのの,いっちゃん最初のとっかかりは,米人の,ちょっとした一言だったんですねー,まるで辻占みたい(・o・;)
まあ,それはそんなとこでしょう,と思いつつ読み進むと…

それで書庫へもぐって戦前の図書館本をひっくりかえしてみたら,日比谷図書館とかでレファレンスサービスをやってることがわかった(要旨)

ふんふん,それはわちきも知っとるでよ。だけど,その次が!

さらによく調べてみると,神戸市立でもこれをやっていたという記録がみつかった(要旨)(p.141)

キタ━━━━ヽ(・∀・ )ノ━━━━!!!!(今日3回目)
これ,すごいよ。
だって志智は,戦前に自館でレファレンスやってたと知ってて,その延長上でやってたってことなんだから。
やっぱりすごいわ。
だって,数年前まで,地方でもレファレンスをそれなりにやっていたことは忘れられていたのだわさ。それにたった今まで,教科書レベルでは志智のレファレンス事業だって,なぜだかわからんけど急にはじまったかのように認識されているんだもの。
なんだなんだ。志智さん,わかっててやってたのねー。なーんでこんなところにちょろっとだけ書いておくのさ。館界の連中,ここ数十年というものまったくちがう画を描いてたですよ。
大発見なり。
しかし,なんで埋もれたんだろーなぁ。やっぱこれが真正図書館本じゃないから?