書物蔵

古本オモシロガリズム

船橋西図書館にヘントフはあるか?!

誰だハックにいちゃもんつけるのは / ナット・ヘントフ[他]. -- 集英社, 1986.1. -- (集英社文庫)
奈良市の古本屋で掘り出してきたもの(^-^)
著者はジャズ批評で有名な社会評論家とのこと。
予想してよりも、ずっとよかった。
まぁエンタメ小説として面白いかといわれれば、すごい面白いとはいかないが、司書のための図書館小説として読むならば、古い、のっぺりとした進歩史観にのっかった『図書館戦争』なんか、およびもつかない。
コバルトシリーズ(この当時はまだ文庫内のサブ・シリーズ)らしい「ほわほわ」した挿絵が… 合わない
古典的小説をめぐって学校図書館を舞台に騒動がおきる、というプロットなんだけど、敵役の保守派の論客がなかなかきちんとした論理を展開しているところが実に気に入った。
ヤングアダルト本として翻訳されたこの本。船橋西図書館にいた児童サービス専門家は読んだのかしら。
図書館戦争』を読んで、「図書館の自由っていいわぁ〜ほわほわ」としちゃったノンキナ司書サンに読ませてみたい。
船橋西図書館焚書事件や日野図書館の脱神話化のあとの時代にすんでいるわちきでも読むにたえた(そーゆー意味で『図書館戦争』は時代がわるいともいえる)。日本の、ちびくろサンボ問題と対比して考えられるね。
船橋市立図書館のOPACひくとヘントフの本は数冊あるけど,これはないね。
ちなみにユネスコでやってる翻訳書誌DBをひくと,英語の原題が“The day they came to arrest the book”だということがわかる。
米国議会図書館(LC;エルシーと読む)のOPACをこのタイトルから引くと,原書が1982年に出ていることや,なんと1987年にテレビドラマ化してることまでわかってしまう。すごいぞLC。原書には,Censorship--Fiction. Schools--Fiction. という2つの件名がついている。

追記

米国amazonの書評をみると,いくつか「教育的だけど,つまらない」という評がある。

7.2追記

さるスジから,「読んでゐたに決まつているでせう」という指摘を受く。たしかに当時のヤングアダルト本の出版状況,さらにこの物語の題材から言って,読んでいなかったとは推測しづらい。むしろ読んでいたに決まっていると推測すべきと思う。