書物蔵

古本オモシロガリズム

国会図書舘の単独行動主義(単館行動主義)

皓星社主人はいう…

それ(プランゲ文庫の雑誌記事索引)以前の戦前期のデータベースを作るのは日本で三千五百番目の出版社のとても手に負える仕事ではないということで、全く考えておりませんでした。

 しかし、ある程度そういう要望が強いものですし、私共も有ったほうが良いと思ったものですから、国会図書館の索引課の方に、「このコンテンツを全部無償で提供しますから、戦前の分も国で作りませんか」というお話をしたら、これは専門家としては非常に正しい態度なのでしょうけれども、「データベースを作るとすれば自分の責任でちゃんと一次文献を見て作るので、昔できた二次文献を基にして、またデータベースを作るようなそんな雑な仕事はしない」ということが一つ。また、国会図書館の『雑誌記事索引』は、もともと所蔵する雑誌の索引を作り利用者の便に供するために作るのであって、われわれの作りました『雑誌記事索引集成』とは、目的が微妙に違うようでした。

また、「では、戦前の一次文献から雑誌記事索引データベースを作る考えはありますか」と伺ったら、「そんなことはとても膨大なお金と人手が掛かるからできない」。

つまり、結論としてやらないという話でした。それで、それは専門家の態度としては誠に正しい態度だと思うのですけれども、われわれの編集者とか、利用するほうの人間から言えば、言ってしまえば、無いより有ったほうがいい。(後略)

「国家直営のDBならば,質は極めて高くあるべき」という索引課官僚サマの考え方も一理ある。
いっぽうで,利用者側からいえば,雑であっても,ないよりあったほうがいい,という考え方も賛成じゃ。
そう,わちきは双方の言い分に白黒つけようとしておるのではない。
思い出されるのう… 「早稲田大学図書館明治期資料マイクロ化事業」
って,ギクッってなった (・∀・) ? むりか…
〜〜
さがしたけどコピー捨てちゃったみたい(´・ω・`)
実は早大が雄松堂と組んでやったこの事業,あとから始まった丸善+国会のマイクロに完全にやられてしまったという事件があった。
これが単に民間会社同士の競争ならありがちなことなんだけど…
早大の方は各大学と協力しあって相互補完し,明治期文献の完全なコレクションを(マイクロで)再現しようというものだった。
それがあとから日本で一番明治期文献を持っている図書館を丸善が籠絡し,さっさとマイクロ事業を完結させてしまったのだった。
怒らいでか。
早大は怒るよねぇ。怒った怒った。さらに国会は国民の全体に奉仕する官庁だから余計,怒った。
で,怒った文献がちゃんとある。
それがなくなっちゃったよ(´・ω・`)ショボーン
たしか1980年代の後半の雑誌記事だったような気が。
いまみたいに中間共同体の紐帯がゆるみきってない昭和時代だから,活字で怒るのはよっぽどのこと。早大マイクロの人,よっぽど怒ってたんだなぁ
国会も,あたかも民間企業のように我が身大切そのままの行いだなぁ。あっ! だけど独法にしちゃえば,こんな法理的・道義的な非難は成立しないよね。
わちきが案じてをるのは皓星社のボランティア体制ぢゃなく,この,国会図書舘の「単独行動主義」なんよ。
索引官僚さまの言っている論理にマチガイはないけど,この索引官僚さまは自分の会社の政治的なふるまいに責任は持てまい。
皓星社の戦前期雑誌DBがもし仮に成功したら…
なにくわぬ顔であとからやってきて,その持てる一次文献とやらでDBをつくることに…
って,この明治期マイクロの前例があるからなー (・∀・)
さんざ単館行動して,坂本タンにいぢめられたから館界や日図協に泣きつくというのはカコワルイ。単館行動するなら独法になるしかないよ。現に単館行動してきているのに独法イヤイヤというのは論理としてはオカシイぞよ。
単館行動といえば,論文コピーのファックス送信で,自分の館だけOKのお許しを文化庁からもらって(陰で)大学図書館達があきれていた,ということもあったのう…
やっぱり天下り館長では,館界を正しく導くというのはムリなのかのう…
行いにあわせて独法化してよし,というしかないのう…

追記 索引官僚答弁のセンスのなさ

上記の話は,「あんたンとこのデータは雑だから要らない。けど,カネがないからあんたのアイデアも採らない」って言っているのと論理としてはまったく同じだよね。
ご主人。実は怒ってるんじゃないの?
よしんば本当だとしても,「ぜひやりたいけど予算が…」って言えばいいのに。官僚さまの正しいけれど腹立たしい答弁より,商人の,かならずしも正しくはないけどあたりさわりのない答えと,どっちがいい?
わちきはこの点でも,独法化してもよいと思うのだ。