書物蔵

古本オモシロガリズム

高円寺〜早稲田〜神保町

高円寺の初日。遅刻しそうになりあわてる。ぎりぎり開場直後に間に合う(^-^;)
名雲書店が明治モノを持ってきてたが拾えず。

いまはなき映画教育と図書館

結局,100円で,
視聴覚教育要覧. 1953年版. -- 日本映画教育協会, 1952
を拾う。いまネット検索してみると,故・辻恭平氏(『事典・映画の図書』という網羅的書誌で有名らしい)が言及しているのがわかる。視聴覚教育は戦前,映画教育といわれていたとも。
日本において図書館と映画がいかに無関係であったか*1
,がわかるのでは,というのがわちきの関心。
などど考えながら,一冊せどる。

早稲田で散財

高円寺から早稲田へ移動す。時間があるので片端から見て廻る。でも結局,いつも必ずのぞく古書現世で散財。
『新評(特集:戦争と出版ジャーナリズム)』1972.12
昭和言論史への証言 / 黒田秀俊. -- 弘文堂, 1966. -- (フロンティア・ライブラリー)

それからこれも。
新千年図像晩会 / 武田雅哉. -- 作品社, 2001.7
これは出た頃に買いたかったもの。すっかり忘れてたけど,棚に面だしされてたので手にとる。
おもわずゲラゲラ笑ってしまったので買う。どれも1500円前後。
画はおぼれている子供を助けんとする人民軍兵士。なぜこのような緊急時に

溺れている子供も助けようとしている兵士も赤本(「紅書」)を掲げているかは…

本をよんでね (・∀・)
武田氏は最近,中公新書を出していたけど,それよか,よいこの文化大革命 / 武田雅哉. -- 廣済堂出版, 2003.1. -- (廣済堂ライブラリー ; 19) がオモシロ,ってか武田さんの本ではイチバンおもしろい! この本では抱腹絶倒した(けど,あまり書評みないね。新刊書店にもないし)。これは品切れ絶版になるまえに注文してでも買うことをお勧めするよ。
これらを買った後も,数軒先で,
古本漁りの魅惑 / 高橋輝次. -- 東京書籍, 2000.3
を拾う。1000円。
これも立ち読みしてたらオモシロくなったんで。どれもおもしろいが,わちき的には,満鉄大連図書館で廃棄本の売り立てをしたというところ。数年前から公共図書館で廃棄本の持ち帰りを始めているが,戦前にも同様の例があったとは,図書館史オタクのわちきも知らなんんだ。
最後に,メープルさんとこに寄ってちょっと話す。

書肆アクセスで図書館本を

そのあと神田へ。注文してた雑誌のバックナンバーが入ったと連絡があったのじゃ。
朱夏(特集:満洲の図書館とライブラリアン)』第12号
出版者(せらび書房)のホムペからコピペすると…

満鉄図書館自己紹介」にみる満洲の図書館……『朱夏』編集部
満鉄大連図書館館長柿沼介の事績……岡村敬二
衛藤利夫の足跡……小黒浩司
田口稔への接近……西原和海
大野沢緑郎の思い出―神奈川県立川崎図書館のころ―……細田弘之
青木實さんのライブラリアン・シップ―「人と歴史」のむづかしさ―……稲村徹元
よみがえった大連日本橋図書館―北九州市立国際友好記念図書館紹介―……下村 崇
『旅順図書館報』からみた旅順図書館……岡村敬二
ロシヤ人の図書館と出版事業(再録)……大野沢緑郎
植民地図書館関係ブック・マガジンガイド……藤田知浩

一見しておちついた内容であることが予測されるのがイイ。まあ、これに先行する『彷書月刊』の満鉄図書館特集のほが本物の満鉄図書館員が書いててもっとおちついているんだけどね。
出てたのは数年前に知ってはいたんだけど,なにせ普通の書店にないので。
「そろそろ品切れになりそうですよ。そうしたら古書店でたかーくなりますよ」と友人Aにおどされ?たんであわてて(^-^;)
稲村テッちゃんも出現している。

*1:米国の図書館にならって,国立国会図書舘法(1948年)や(公共)図書館法(1950年)で明確に収集と提供が規定されながら半世紀,結局ずっとほっぽりっぱなしにしてきたという事実は誰も問題にせんね(って去年だったか,さすがに見かねた文化庁が映画の保存に乗り出した話もあった。これは他省庁に明確に法定されてる権限を執行するという,役所としてはありえない事態だったわけだが…) 昭和20年代の図書館の理想が,絶対的貧困のなかで昭和40年代に「単行本の貸出し」という効率のよい訴求力のあるサービスに傾斜していった事態は,図書館運動の大躍進として館界史の通説となっているけど,これは同時に,単行本以外(雑誌・視聴覚)の切り捨てと(物理的)貸出し以外のサービス手段(レファレンス・目録)の切り捨てでもあったわけ。