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古本オモシロガリズム

帝国図書館の歴史

『国会図書舘三十年史』本編には,その序章が前史として帝国議会両議院の図書館と,帝国図書館についての記述がある。
で。
帝国図書館について簡略ではあるけれど記述がある。大昔に3回ぐらい読んだけど,すっかり忘れちゃってたんで,これはと思うところを略述せん。

帝国図書館史の時代区分

この後(東京府から文部省が書籍館を返してもっらったあと),東京図書館は,明治三十年帝国図書館官制の公布に至るまで,その名称を継続するものであるが,実体は三つの時期に分れるものである。すなわち,第一は,明治十三年七月から十八年六月までの湯島聖堂時代の東京図書館であり,その二は,明治十八年,上野へ移っての東京教育博物館(国立科学博物館の前身)との合併時代の東京図書館であり,その三は,明治二十二年三月,東京図書館官制公布により,東京教育博物館を分離した独立後の東京図書館である。

なるほど。同じ「東京図書館」でも,明治5(1972)年の書籍館とつなげて考えるべき18(1885)年までと,博物館との上野の合併時代,それから独立後の時代ってわけだね。
で,ここらへんの事情を説明する西村司書官の談話が引用されたあとで,独立東京図書館のことへ記述がすすんでいくんだけど…

この前買った文字通りのex-libris本

西村竹間は,嘉永三年生,足利藩士東京大学予備門教員をへて,明治十一年教育博物館に入る。大正二年三月帝国図書館退官,第五代日本図書館協会会長。
この時代の東京図書館の活動の一つに,通俗書の大日本教育会書籍館への貸出がある。この時の大日本教育会長は,かつての東京書籍館御用掛辻新次であった。

('0'*)あれま,わちきがこの前,古書展で拾った東京図書館の蔵書票つきの雑誌は,きっとこの貸出で貸しっぱなしになったものの一つだよ。てか,複本だからって,あげたのかなぁ。

官制としての帝国図書館(1887)と,その建物(1906)

話をもどして,田中稲城は,冗談で洋行したいと言ったら,西村竹間手島精一にとりついで,1年以上も洋行することに。
帰朝した田中は俄然,発憤して,公共図書館のモデル館としての性格を残していた東京図書館国立図書館にすることに奔走する。そして明治30(1897)年4月27日に官制公布され,帝国図書館が誕生する。
そして,それにふさわしい建物の建設は明治32年に決まるも日露戦争のため遅れて,予定の1/4がとりあえず出来たのが明治39(1906)年だったというわけ。
ブログの友が百周年だと指摘していたのは,この,1906年から100年ということなのだねぇ。

国会に併合された国立図書館

で,いろいろあって戦後,GHQの命令で国会図書舘に併合されることになる。

私は大いに憤慨したがどうしようもない。

と嘆いたのは,最後の前の館長だった岡田温

しかし大勢すでに転じようもなく,岡田自身も金森新国立国会図書舘長の「君はハムレットになってはいけない。ドンキホーテにこそならなければ……」の巧みな話術をもってする説得と懇請により,昭和二十三年五月三十一日同館整理局長に転出となった。

歴代館長

ということで「歴代館長略伝」が載っている。
町田久成 明5 書籍館務兼理
辻新次 明8 東京書籍館御用掛 東京書籍館館長事務取扱
畠山義成 明8 書籍博物両館長兼勤
永井久一郎 明8 東京書籍館長補
二橋元長 明10 東京府書籍館掛 明12 東京府書籍館幹事
岡千仞 明12 東京府書籍館幹事 
小林小太郎 明13 文部少書記官,東京図書館長兼務
鈴木良輔 明13 東京図書館
平山太郎 明14 東京図書館
箕作秋坪 明18 東京教育博物館長兼東京図書館
手島精一 明19 東京教育博物館兼東京図書館主幹
末岡精一 明22 法科大学教授,東京図書館長兼任 田中稲城の親友
田中稲城 明23 文科大学教授,東京図書館長兼任,帝国大学図書館管理
 ゝ   明26 東京図書館長専任
 ゝ   明30 帝国図書館長(初代)
松本喜一 大10 帝国図書館長事務取扱
 ゝ   大11 帝国図書館