書物蔵

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毛主席万々歳! 「特殊矛盾」

さすが最後の盗賊皇帝にして思想家,毛主席ってことがわかる中国図書館学用語が収録されてる。

特殊矛盾

「“蔵”と“用”の間の矛盾」とか「“収蔵”と“提供”の間の矛盾」「“管理”と“利用”の間の矛盾」って中国人の説が引用されてますが,要するに

保存と利用の矛盾

ってことだわなー
で,この項目の注釈をわかりやすく言い換えると,「学問が学として成り立つには,そこに何らかの(その学でしか解決できないような)特殊な矛盾があるはず」と毛沢東が指摘しているそうで。で,中国の図書館学者たちは毛沢東の特殊矛盾を保存と利用の相克に求めることで,学としての固有性と正統性を得ようとしたんでしょーね。涙ぐましいことだす。
ま,このての話は外部からみると「?」なんだけど図書館趣味的にはオモシロイね。日本でも図書館学の学術性論争とかあったし。図書館や図書館研究の自己弁明ってのは,お国柄ですな〜 曰く毛思想,曰くクルプスカヤ,曰く…
で,いまの日本の場合,たいていのことなら「××でしょ,○○でしょ,だから民主主義に必要」ということでなんでも是認されることになってる。
申し訳ないけど,図書館と民主主義って,そんなに密接には関係しないと思う(まさしく白専のものいい)
ま,そーゆー政治思想のことは措いても,数年前に日本図書館協会の保存委員会がブチあげた「利用のための保存」ってなスローガンと,この毛沢東直伝の「特殊矛盾」論はそれこそ矛盾するよ。
保存と利用は矛盾する。それのバランスをとるorあえてとらない,っちゅーのが図書館経営の要諦では。
委員会スローガンは,あたかも両者は矛盾しないかのように図書館員の無意識を操る点で,わちきは反対なのだ。一歩ゆずって,外部に対するプロパガンダなら認めますけど。でもこーゆーのって自分たち自身がだまされちゃうこともあるからなぁ〜 ほんわかあったかなスローガンでぬるい気分になるってのは,本質を見誤ることになるよ
そーゆー意味では,わちきは断然,特殊矛盾論の立場にたつね。
毛主席万々歳!