書物蔵

古本オモシロガリズム

 「形式区分」というもの

図書分類の一般理論のなかに「形式区分」という概念がある。分類はあくまで本の内容、書かれた事柄について付与するものなんだけれども、例外的にというか、付加的にというか、本の編集形式というか外見というか、そういったものに対しても分類項目を設定することがあるのだ。
もちろん、一般に(といっても日本限定だが)普及している日本十進分類法(NDC)でも、この形式区分というのはある
たとえば -033 は辞書。だから,たとえば「数学辞典」がきたら本表で数学は「41」だから,41+033 で、410.33という分類番号になる。

数学(41)+辞書(-033)→ 410.33 数学の辞書

NDCでは,形式区分は十分に主題を展開したあとにつけるオマケってことになってるから,たとえば,おなじ数学の分野にぞくする辞書でも,にあちこちの棚に分散することになる。「幾何学大辞典」は,414.033になるので,「数学辞典」と「幾何学大辞典」の間に何百冊もの本(代数学や数論やらの)が挟まってしまうことになる。

幾何学(414)+辞書(-033)→ 414.033 幾何学の辞書

だから,NDCなんかでは形式がおなじでも場所はバラバラになるのが「正しい」。仮に,闘病記なんて形式区分はNDCにあっても,バラバラの場所にしか置けない。
けど,もし,「闘病記」の形式区分があったら,すくなくともデータ上は闘病記の検索集合をつくることができるはずだよね。たとえば,−099(闘病記)だとすれば,分類項目を後方一致で検索すればいい(もちろん後方一致できないOPACならダメなわけだが)。