蔵前の古本屋
最初に,蔵前にある御蔵前(おくらまえ)文庫。むちゃくちゃ古風。やたらに自治体史があったけど,古書通以外にはおすすめしません。建物は,すごいです,かしいでます(わたしゃ好きですが)。http://ssaton.hp.infoseek.co.jp/omise/kuramae-syobo.jpg
文庫の掘り出し 値段の風俗史とか
実家のほうの大きな古本屋さん(ブコフじゃないよ)。いつもはあんまり買わないんだけど,今回すごいよ。大漁。ウハウハ。このところ欲しい本がどんどんみつかる。古本の神様がついているのかしらん。これらはすべて定価の半値。とくにうれしかったのが,これ。
値段の明治・大正・昭和風俗史 / 週刊朝日. -- 朝日新聞社, 1987.3. -- (朝日文庫)
上下2冊。これでいま書いてる文章に引用できるよ,下巻に岩波文庫の値段がのってるのだ。でも,正直こまった。きのう上巻だけ買っちったから。バラでも買えたんだけど,なんか2冊の仲をひきさくようでどうしてもできず。けど上巻だけ1冊あまってても……,どうしよう。そうだ,下巻を売ってる古本屋に上巻を送りつければいいんだ!そーじゃなきゃ,どっかで読んだけど「逆・万引き」をしよう(笑。こっそり置いてきちゃうのだ。でも,いま「日本の古本屋」でみたら,その店愛知県だよ〜。 東名でいこうか?
値段の風俗史は読んで楽しいレファレンス・ブックだよ〜。古書価むちゃ高い。リプリントがでるかな〜,でもシバリョウとかそうそうたる面々が多数書いてるから,権利の調整がむずいかも。著作権法は文化をほろぼすね。
新編南蛮更紗 / 新村出. -- 講談社, 1996.3. -- (講談社文芸文庫)
さいきん講談社文芸文庫にこってる。装丁がいいのと,文庫なのに定価が単行本並に高いのがヨイ。きっとそれなりにハイブラウなものばかりだろうと。でもわちきは「小説は(極力)よまない」を信条にしているので,主題のあるエッセイをかうことになるわけだす。
で,この本,きっと国語学の本なのだろうと予測していたら,あにはからんや,「きりしたん版」周辺のエッセイじゃないすか。こりはもうほとんど書誌学でございます。ぜんぜん予想していなかったウレシサ。というのも,某国立図書館の分類番号が914.6(近代日本のエッセイ)になってたから。著者は作家じゃないんだから,198.221か022.3だと思うよ。
古書法楽 / 出久根達郎. -- 中央公論社, 1996.1. -- (中公文庫)
デクネ先生の本,じつはまだ1冊も読みきってない。古本好きの自分なのになぜだろう。きっと有名になったのが,わちきが(古本道の)足を洗っていた時期だからだろう。この本に「中公文庫」という章があって,品切れをださない時代から中公文庫は古書市場でしっかり値段がついていた,とある。
これは意外。中公がツブレて中公新社になってから,転向して品切れだしまくりとなり,坪内祐三,スムースあたりが推薦して値があがったんかと誤解してた。勉強になるなぁ。
リンボウ先生の書物探偵帖 / 林望. -- 講談社, 2000.3. -- (講談社文庫)
「書誌学の回廊」改題 解説・高宮利行 えーっと,書誌学の文庫本なんてもうこの先なかなかでませんぞい(一時期,中公文庫がいっしょうけんめいだしてたけど)。で,この人はエッセイであてたんで本業?のほうの文庫がでたんですねぇ。やはり書誌学(西洋書誌学)の高宮先生が解説してますが……,ちょっと不思議な箇所あり。
活字狂想曲 / 倉阪鬼一郎. -- 幻冬舎, 2002.8. -- (幻冬舎文庫)
これは校正についてのエッセイ(らしい)。探してた。絶版ではないんだろうけど,ちょうど新刊書店の店頭にないタイミングってある。神田のどの新刊書店にもなし。
めずらしい新書 教育社「入門新書」
衆参両院議長の地位と権限 / 西修,戸津正勝. -- 教育社, 1978.11. -- (入門新書)
ははぁ,これはこれは珍しき主題なり。もうないけど,教育社の入門新書はすごくマイナーな主題をひろってくれていて,とてもおもしろかった。新書は百科全書の一項目なり,と大学の授業でならったが,まさしくそれ。図書館本でも,国立国会図書館 / 藤野幸雄. -- 教育社, 1978.10. -- (入門新書 ; no.116) があって,バランスのとれた良書だった。おなじころ,国立国会図書館の課題 / 磯村英一,松浦総三. -- 白石書店, 1979.10 って本(新書じゃないよ)もあったけど,こちらはバランスというコトバには縁どおい本でござる。
教育社の入門新書はほかにも,宮内庁,防空体制,教皇選挙,防衛大,北方領土などなど,マイナーで素敵なものがある。買いたいけど,これがなかなか古書店にはないんすよ。
わたしゃ個人的にこの入門新書がいちばん新書の精神を体現してたと思っとるんすよ。百科事典で,「この項目は人気がないから載せない」ってことはありえないでしょ。新書が百科事典の一項目の拡大版とすれば,マイナーな事象でも本はでるべきなんで。おなじ教育社の「教育社歴史新書」も同様で,すばらしいのですが,いかんせん販売力がなくてつづかない感じです。