書物蔵

古本オモシロガリズム

『古本屋探偵の事件簿』を省令科目の副読本に!

昨日のお茶で話にでてきたことが創元社文庫本で読んでたらたまたま出てきたのでメモ(^-^;)

常連は一週に一度、十日に一度と通ってくる。そのとき、本棚に何の変化もなければ、足が遠のいてしまう。ただ変化をつけるだけでなく、一般の古本好きの食指を動かしそうなものが必要だ。(p.514)

舞台は1980年代前半の神保町。主人公の須藤康平はさる古本ビルに間借りする新興古書店
で、神保町という好立地とはいえ、新興の古本屋なりの工夫が必要、という話で、既存ジャンルで大手古本屋とは勝負にならないのだからそれなりの工夫をしなければならないという。

結局、少数の熱心なマニアか、なんとなくひやかしに来店する浮動客を相手にせざるを得ない。そのためには、ちょっぴり毛色の変わった構成をもつことだ。一隅にいつも変わった辞書を置くとか、文庫や新書の絶版本のみを常時五十点ぐらい備えて置くとか、映画のプログラムを置くとか、要するに神保町に足を運ぶ者がなんとなく立ち寄りたくなるような品揃えをしておくのである。“本の探偵”という広告を出しているのも、一風変わった店という印象を与えるためであった。(p.515)

森さんが、「むかしはこういった工夫をしている店がたしかにあった」と。ん?(・ω・。) 考えてみれば、わちきも無意識的にそのような店をまわっていたやうな(^-^;)
この小説を読んでいると、1980年代の神保町がよみがえってくるなぁ(*゜-゜)
だけど、今でもこの小説、日本近代書誌学の副読本としていいのではないかしらん(=゚ω゚=)
日本近代書誌学というもんは、必要なのにまだ成立しておらん。
司書課程の省令科目「図書・図書館史」で必読の副読本ぢゃ!`・ω・´)o