書物蔵

古本オモシロガリズム

絶版文庫キタ━━━━ヽ(^∀^ )ノ━━━━!!!!

秦川堂により,絵はがきをひっくり返す。函館市立図書館の開館記念はがきを買う(ちょっと高いか)。
古書モールによる。とくに買う物なし。
なんか気分がでず,ウラ神田(猿楽町)のほうでも行こうかと…
とかち書房,書肆ひぐらし,などをひやかす。ひぐらしさんとこで,

店主様:なにをお探しですか?
わちき:えっ! えぇ,まぁ,なんというか。

うん,自分でもどんなジャンルが蒐集領域なのかよくわからない(大昔は絶版文庫の海外古典文学だっけど)。
まぁ,ホントのコアな部分は古い図書館学本なんだけど,この「図書館学」って言葉がね,あんまよくない。それじゃー書誌学かってゆーと,なんか漢籍や和本しかあつかわない本みたいだし… 文学史ともちがうしね。読書論なんて言葉もあるにはあるけど。
それにスジの通ったヘンな本ってのも好きだしね。
いったいどーゆー風に言えばいいのかなぁ。
そんなことを悩みながら久しぶりにSTビルへ。この通りで最北端の古本屋さん群。歩くのおっくうなので,たまにしか来ないのだが…
入ると突き当たりの「かわほり堂」さんのところが暗い。今日はやってないのか…
手前の「玉睛(きゅうせい)」さんとこも暗いし… って,あれ? 「すからべ」さんとこは電灯ついてるよ…

わちき:(ガチャ)おじゃまします〜
店主様:(ブオー)あっ,ちょっとまってくださいね
わちき:いいですか?
店主様:いいですよ。かわほり堂さんは古書展のほうですが

ということに。上記の「ブオー」ってのは掃除機の音(^-^*)
すこし時間かせぎに,ちょっとトイレへ寄る。
てか,この「STビル」,トイレあったんだ… 何度も来てたのにはじめて気づいたよ… これはセレンディップな。古本屋・図書館のトイレ政策についちゃ一家言あるからね。
ということで,心をおちつけてイザ〜

『書斎』

これは楠瀬日年がやっていた書物趣味誌。なにげにみると,むむっ! 橘井清五郎が 「書籍医学」なんてのを書いている。こりは… 資料保存論そのものなり〜 わちき今まで誰も書いたことない日本図書館資料保存史をスケッチしたいと思って資料をあつめているのだ。これは拾いものなり〜 たったの1000円。
(帰ってきて青裳堂の著作集をみたら未収録のものであった。ますます貴重なり。ななめよみすると,資料保存論の課題がひととおり列挙されている。やはり… (実態はともかく)戦前に論は出尽くしているのだなぁ。戦後の図書館言説空間にくらべ,貧弱そのものの実態であったはずの図書館界のほうが言論のバランスがとれているのが不思議。やはり1960年代からの貸出傾斜経営が原因なのかのう…)
これは何かあるかも… としげしげじろじろ見るなり。すると… うーんこれは。

『書物』 森銑三,柴田宵曲 白揚社, 昭和19 (現代生活群書)

これは何年かまえ岩波文庫から出た。でもわちき今の岩波文庫のデザインがいまひとつ好きになれなくて… むかしはパラフィン紙に帯,本文は精興社の活字でよかったのになー。 ということで,文庫版を持っているのに購入。きっとこっちで読んだ方が楽しいよ。いちおうカバーもついて,1000円。うん手頃(ってか安い)。
にしても昭和19年にこんな本がでるとは… ほんと戦時中にいい書誌学本が出ているのが不思議ふしぎ。
ということで,おとなりの「玉睛(きゅうせい)」さんのほうへ移動。
そしてここで…
ん? ピンクの背表紙の文庫本が積み重ねられている… これは中公文庫。
手に取ってみると…
キタ━━━━ヽ(^∀^ )ノ━━━━!!!!

『大衆文学十六講』 木村毅 中央公論社, 1993.7  (中公文庫)

これ坪内祐三氏の本で引用されてたんでここ1,2年さがしてたんだけど… なぜだか1冊も売ってるのみたことなかったもの。

わちき:値段ついてないのにすみません。これいくらぐらいですかね。
店主様:700円ですかね。

ということで買うことに。
でも,これがあるということは… もしかして,アレもあるかも… ちょっととなりも見てみると…
キキキ,キタ----- ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!

『思い出すことども』 森銑三 中央公論社, 1990.11  (中公文庫)

これ! これっ! これでんがな,NDCが010.49だって言ってたもの。
大阪で一度みて,1200円であきらめて,セドローさんちの目録で,やっぱ1200円であきらめて,親本の装丁がいいもんだから,文庫主義者のわちきもとうとうあきらめて,ついこのまえ元版を買っちまったというもの。
ここで会ったが百年目(正確には3年目だけど…(^-^;)アセアセ)

わちき:これいくらですか
店主様:400円で。2冊とも(背に中公の)マークがないから新しいものですよ。

そうなり。両方とも1990年代のものなり。新しいのに,なぜだかぜんぜん市場にない文庫なりよ。
うーん,いいのかなー。もしかして古書展で(わちきを)よくみかけるから友情価格(ってそんなもんあるのか?)にしてくれてんのかなー,という気も…。
ここはありがたく買うなり〜(^-^*)

『全訳サテュリコン』 ペトローニウス 岩崎良三訳 創元社 1952

こんなのも買う。世界最古?の小説。著者は皇帝ネロのお友達ね。といっても立派な趣味人。若い頃はちゃんと属州経営(たしかビテュニア州(小アジア))にも成功した実務家でもあった。じつはわちきのあこがれの人物であるのだ…(って,ちょっとヘンかしら。実務はそれなりにできるんだけど,バカバカしくなって途中から遊び暮らすってとこがいいのだ)。
これは筑摩の古い文学全集に収録されているし,別宮さだのりだったかな? 誤訳を指摘してたし岩波文庫の新訳もあるんだけどね。新訳は(いちど読んだけど)読みづらかったよ。正しい訳より読みやすい訳のほうがいいなぁ,とわちきおもうんで,またこれで読んでみようかと。
あと,見返しに著者から小泉信三へ献辞があるのも買った理由のひとつ。そういえば両者とも慶応大の人だね。2000円。
ということでお会計しようとしたら,キリのいい値段にまけてくれた\(^▽^)/ワーイ
うーんこれでやっと

もう古書展に行っても,文庫の棚を,とくにピンクの背表紙を見なくていいね

ようやく肩の荷が下りたような気分。あとは読めばいいだけじゃ… ん?

STビルの場所

三省堂の北を斜めに入っていく(クルマは出てくる一方)道がある。それをかなり北上することになる。
道から路地へ入ったところだから地図できちんと確認したほうが。たたずまいはお店っぽくないから,ちと入りづらいかも。けどお三方とも,とても愛想良くむかえてくれるはず,たとえ買わずともじゃ(過去の経験による)。お値段はしっかりした本はしっかりしてるけど靖国通り沿いの店よりずっと手頃(のようにわちきには見えた)。
品揃えは,わちきは好きだなぁ。文学,ってかもっと広く文芸かなぁ。戦前から昭和30年代までの読書人が読んでいた本がならんでいる。ずっと立ち読みしてたい(すみません)感じ。(せまいから,ほんとの立ち読みはむりだけどね。) たしか3店とも三省堂となりのビル5f「古書モール」に出品してるから,それを見ると品揃えの傾向がわかるよん。