書物蔵

古本オモシロガリズム

NDC1類が哲学でなく精神科学であった件

Twitterのタイムラインを見ていたら、こんなエントリがバズっていたのを見た。


このエントリは「本屋に行くたびに思うのだが、思想・哲学の棚を精神世界の棚の横にレイアウトするな。」という意見に反応したもの。こちらの元の発言は「精神世界」という知識分野を対象にしていて、上記は「心理学」を対象いしているから話はちょっとずれている。ここでは話をややこしくしないために「心理学」の話しにしておく。
上記に対してわちきがつけたコメントは次。
一連のコメントをそれにつけておいたけれど、問題提起者も含めて思うのは、図書分類表ってもともと、10年もすれば同時代人からは違和感を表明されるのが、むしろ当然であるということ。
他にもいろいろ切り分けたほうがいい問題があるね。

心理学は自然科学か

心理学は今でこそ、自然科学ふうに一般の我々に見えるが、自然科学っぽくなったのはここ数十年のことではないかしら。ちょっと前まで深層心理学派なんかの言説は、宗教がかってたしねぇ。それに自己啓発本に多い通俗心理学って、ぜんぜん学問ではないし。

本屋の配架分類にNDCは影響を与えているか

むかし、そう戦争直後から1970年代くらいまでは与えていたけれど、それ以降はむしろNDCの書店配架への影響はなくなっているんではないかしら。根拠は出版年鑑その他の書店系媒体で書目を並べる際にNDCが使われなくなっていくこと

精神科学の解体と消滅

戦前NDCの100はスピリチュアル・サイエンスだったので、フロイトやらユングやらの心理学はむしろ、スピリチュアルの下位こそふさわしかったわけで。ディシプリンの体系と個々のディシプリンの変化は、ディシプリン自体では研究されづらく、学問史ってジャンルで別にやるんだっけか。