書物蔵

古本オモシロガリズム

かきかけ

いまぬりえ屋さんに説明した図書館の「出納手
本出し、などといはれ、世間的にも組織内的にも軽んじられてゐた。
戦前の職務体系のなかでは「雇(やとひ)」の扱ひで、まあ今でいふ非常勤みたいなもの。
ただ、雇、傭人(ようにん)の研究はほとんどない。
・石井滋 著. 非官吏制度の研究. ブイツーソリューション, 2016.10. 224p

一番大規模に出納手を使っていたのは帝国図書館で、出納手も何段階かにわかれていた。
一番のベテランが「長老」としてカウンター(出納台)にいて(青丸の人物)、登館人から請求票を受け取る。
記入の不備があればつきかへし、受けたものは「層別」などに粗わけしておく。
書庫内の待機所には「監督」とヒラの出納手がゐる。

時間を適宜区切って(30分に1回とか15分に1回とか)、長老が受けた請求票をまったくの新人(赤丸の少年)が

作家の菊地寛――彼は若い頃図書館のヘビーユーザだった――

下足番が閲覧券売りに「出世」して


まったくの新人は長老が受け取った請求票を監督にうけわたすだけの仕事をします比較的下積みの人は監督から請求票をうけとって書庫内に本をさがしに行き、出してきます。
本をしまう人は別に設定されていて、「納番(のうばん;しまいばん)」といったそうです。これはベテランが担当します。納架ミスをするとその本が100万冊のなかで行方不明になってしまいますので。