書物蔵

古本オモシロガリズム

『出版ニュース』2015年12月号から「図書館界ウォッチング」

 『出版ニュース』2015年12月号から「図書館界ウォッチング」が始まったが、感心しない。「真理」(p.12)や「本質」(p.11)といった言葉をすぐ出してきちゃふのは悪手。結局、自説にproだと「我が意を得たり」(p.12)でantiないし位相が異なると「歯がゆさを感じる」(p.11)ことになるわけで。
 1970年代に定式化された信条(貸出しは全ての基礎とか、無料制が正しいとか)に照らして、情報環境の変化とか経営形態のオルタナ(指定管理者)などの善悪を判定するといった枠組みを、初手から採用しちゃってるやうに見えちゃふ。
 判断枠組みといひ価値観といひ、1980年代の現役司書に見えちゃふ。貸出し護持でも直営護持でも、やりようによっちゃあ、いい線いくと思うけど、この書き手、まさか若い人ぢゃないよね。
 司書職制度が確立してるところから、ここ数十年、業界を革新するやうなことが出てきたのかといへば、それはない。貸出し主義を墨守してきただけといふ実績があるからなぁ。ってこれは千代田で指定管理を(一定程度)成功させた柳与志夫氏の本に書いてあったことぢゃった。
 バランス感覚のある書き手といふ点で、すでに『出版ニュース』には嶋田学氏がゐるわけで(ブック・ストリートの図書館の項)、あへて「カウンター」なる匿名で新連載を始める意味があるのかなぁ…疑問なり。