書物蔵

古本オモシロガリズム

「自費出版」をめぐる概念整理

先行文献

  1. 自費出版編集者フォーラム日本自費出版史刊行委員会 編. 日本自費出版史 : 一九〇三-二〇一二. 自費出版編集者フォーラム, 2013.10. 221p ; ISBN 978-4-9907399-1-1 :
  2. 大島一雄 著. 歴史のなかの「自費出版」と「ゾッキ本」. 芳賀書店, 2002.1. 294p ; ISBN 4-8261-0160-0 :

いま日本自費出版史の単行書は上記の2点のみ。一応、国会蔵目で件名:自費出版と、自費出版--歴史を見たが、やはり上記のみのよう。しかし1の件名ほんとは自費出版--日本--歴史--近代--年表だし、2は自費出版--日本--歴史--近代なんだがなぁ……(*゜-゜)
さて先週末、古本案内処(中野)で1を1000円で入手したので両者を見比べてみた。これは両方とも学術系のものではないからしょーがないんだが、肝腎の「自費出版」とは何ぞやの交通整理が不十分なのが、主題自体のわかりづらさを生んでいる。
その点でいえば、衒学的で話題がとびすぎるきらいはあるけれど、2のほうが、実はいろいろなお題を出しているので、当方が考えるきっかけとしてはよい。

概念整理

先行文献は一般辞典はひととおりみとるが、実は専門辞典類を見とらんやうなので、わちきが見てみると、いろんなワードが拾える。『出版事典』からは、「自費出版」の項の参照として、実は自費出版のほとんどは「委託出版(publication on comission)」だとか。
いろいろ関係用語をうまくシソーラス化すると、次のようになるのではあるまいか。

営利出版(=商業出版)
  私版の大部分
  官版の一部
非営利出版(=自費出版1)
  官版(官庁出版)の大部分
  私版(民間出版)の一部
    自費出版2(=個人出版
      委託出版(=自費出版3):紙、印刷、製本などの手配は出版社に頼む
      自費出版4:紙、印刷、製本の手配まで出版社に頼まず自力で
    私家版
    同人雑誌   
    機関誌、会報もの

虚栄出版

英米には虚栄出版なる用語があるとぞ(σ^〜^)σ
https://en.wikipedia.org/wiki/Vanity_press

vanity press, vanity publisher, or subsidy publisher