書物蔵

古本オモシロガリズム

「6つの雑誌探索技法」となっ(*ω*;)´´

いま、三輪真木子先生の「遠隔学習のためのパソコン活用 第7回 図書館の利用法」を見ていたら、「6つの雑誌探索技法」なるものが紹介されていた。

脚注連鎖探索:文献中から関連文献をたどる
引用探索:引用索引で新しい文献をみつける
雑誌走査:特定領域の目次を通覧すること
領域走査:専門書誌をみる
主題探索:件名や分類で検索する
著者名探索:特定主題の専門家から検索する

三輪先生は、利用法で使ってたけど、実はこのネタ、次のものからの転用である。
http://www.slideshare.net/ymoatouj/dbim-4
うん、データベースの設計には使えるモデルだと思ふけど、そのまま利用者に利用法として列挙するには、ちと、問題かもね(o・v・o)b

ベイツのいちごつみモデル

これの大元は、英国の図書館情報学者ベイツによる

情報探索のいちごつみモデル

らしい。

Batesのベリーピッキングモデルは,利用者が情報探索中に遭遇する個々の情報が次に探索すべき新たなアイディアや方向性を提示し,その結果クエリが継続的に変化するプロセスを描写したもので,クエリと文献のマッチングを行う従来の探索法の考え方が実際の探索プロセスを反映していないと主張した.その上で,変化する情報ニーズに対応すべく,紙媒体を対象とする文献探索技法として,脚注連鎖探索(footnote chasing),引用探索(citation searching),雑誌走査(journal run),領域走査(area scanning),書誌・抄録・索引サービスにおける主題探索(subject searches in bibliographies and abstracting and indexing services),著者名探索(author searching)を含む6種類の情報探索行動を電子環境で実現するよう提言した[2]

2) Bates, M.J. The design of browsing and berrypicking techniques for the online search interface, Online Review, Vol. 13, No. 5, 1989, p.407-424.
三輪眞木子ほか「Web上のexploratory searchの特徴:発話プロトコルと事後インタビュー分析結果より」『情報処理学会研究報告』Vol.2009-FI-96 No.2, http://repository.aichi-edu.ac.jp/dspace/bitstream/10424/3005/1/Saitoh005.pdf

ん?(・ω・。)
この論文を見ると、なんとなく、番組内における三輪先生の説明で、領域走査と主題探索がごっちゃになってたやうな気がするが…気がするが…(σ^〜^)σ
まあ、かういふことはよくあるのでね(^-^;)

機械化のためのモデルでは(σ・∀・)σ

さういや、1994年ごろ、さるマル顔の委員長が、ぐふぐふ笑ひながら、

いちごつみ探索法ちゅーのがあるみタニですねぇグフッグフッ(σ^〜^)

とまあ、コーイチてたのを思い出したよ。
その委員長の言ってたことは、ほぼ誤解で、〈人間の探索行動は、シーケンシャルなものでなくもっと、場当たり的に再構築されていくのだから、そのモデル名として、たとえとしていちごつみと名付けた〉だけで、べつにいちごつみ法という技法があるわけではない。探索法分析のためのいちごつみモデルぐらいのこと。
よく考えてみると、時代的にエキスパートシステムが原理的に不可能として頓挫する前の状況が反映されとるんではないか。
つまり、レファレンス技法、情報探索がすべてシステムで代替できるようにしやうという目的が。
これは斎藤康則先生のレファ論本を読んではっきりわかったことなんだけれど、いままで日本国内で(米国でもか?)文献探索、レファ技法、参照技法の話をする人って、無意識的に、コンピュータにさせるためのフローチャートの話に無意識的におきかわってんだよなぁ。
人間がやっとることを人間がよりよくできるやうに、という目的でなく、人間がやっとることをコンピータ(当時はメインフレーム?)にやらせやうという態度。
けど、さういった機械のためのモデルって、人間にやらせるためのモデルとは、本質的にちがくなっちゃふんぢゃあ、ないかな(σ^〜^)
だから、読むがわ、聞くほうとしては、

ああ、これは人間、この私がやるための方法ぢゃあないのね。機械にやらせようとすると、こんなフローチャートが必要なんだろうけど、人間、つまりこの自分がやるには実行不可能だなぁ。これらモデルが抽出された英米司書の現実を、このチャートから想像しながら、人間むけの方法でやるしかないなぁ

と思わなければいけない(・∀・)

もっといい訳語が…

ベイツのもとの論文を読まねば(ネットには有料版しかない)よくわからんが、とりあえずこんな感じをご提案しとく(σ^〜^)

footnote chasing 芋蔓式
citation searching 逆芋蔓式
journal run 
area scanning 根性引き
subject searches in ... キーワード検索
author searching 専門家検索

ジャーナル・ラン(雑誌ばしり)ってなんだろ。雑誌のはしご読みかなぁ。とりあへず、

journal run 雑誌のはしご

うん、これがいい、さうしやうったらさうしやう(o^∇^o)ノ

日式漢語は、ちと問題

ひとむかしまへまで、英独仏語を、日本式漢語に訳すことがとうとばれてたし、わちきも、オモシロガリズムの観点から好きなんだけど、縁なき衆生にそれをつかうのは、いかがなものか。
「脚注連鎖探索」とはいかにもいかめしいし、「雑誌走査」は、たしかに原語はrunだけど、この四文字語は、雑誌をスキャニングすることにしかとれないから、エリアスキャニングとの違いがいまいちわからん(゜〜゜ )「領域走査」はますますなにがなんだか(だから先生自身が混乱してたのでは)。「主題探索」ってーのはねぇ、この「しゅだい」ってコトバが、じつは縁なき衆生にそも、縁がないものなのではないかと、subject headingsがなっとらんから、日本の全opacはただの物品会計リストにすぎないのぢゃー:(;゙゚'ω゚'):といふ、このわちきがいふてをりまするよ、いま、ここで(σ^〜^)
「著者名探索」はいいぢゃんか、ってか? じつはこれも、authorは、その文献についてのauthorityでもあるわけで、書いた人になんらかの主題つながり(あっ、わちきもシュダイって言ふたったー(^-^;))が期待できるからオーサー・サーチをすんのではあるまいか、あるまいか、あるまいか… いはゆる「既知文献」の探索の話―夏目漱石の本をもっと読みたひ!―では、ここではないと思ふよ(σ・∀・)σ