書物蔵

古本オモシロガリズム

緑のおぢさんのCIE図書館利用体験

かの「緑のおじさん*1」秋山, 正美, 1929-2001 || アキヤマ, マサミ 氏の半自叙伝に次のような一節がある。

しかしこれ、自叙伝なんかな。

おもな登場人物
 このものがたりの内容はすべて事実にもとづいたものであるが、登場順に、〜およそ十数名の女性名〜は仮名を用いた。他はすべて実名である。

とあるから、実体験にもとづいた「ものがたり」なのだろう。しかし父親の没後「秋山家は、没落したのであった。」という。健康も害していた秋山青年は、「新聞の立ち売り」になる。川頭春陽堂(有楽町ガード下、のち東都春陽堂)という新聞卸店で「売り子」になったそうな。

私は、昼休みに新聞の山に居すわるのをやめて、その時間に図書館へ日参するようになった。今では司馬公園に移って「アメリカ文化センター」になっているが、当時は、占領軍に民間情報教育局、略してCIEが、日比谷映画劇場の横通りに、英文図書ばかりのライブラリーをもい受けていた。あちらの新刊書雑誌新聞が無料で読めて、冷暖房完備。建築工学関係書の棚には、日曜大工の手引書や組み立て式小住宅設計の入門書がある。私はここで、いわゆるパネル・コンストラクションのにわか勉強をはじめた。pp.19-20

新聞の売り子は1年そこそこで、次は洋食器工場の外交員になったそうな。
などなど、病気が原因の(脱肛だそうな)貧乏暮らしと、はちゃめちゃな「求婚戦争」が延々と書かれているのでこの先は読まず。
っていふか、この正美さんの若書きは、その不幸な青年期から、必要以上に露悪的でエグイので、ふつーの人にはすすめられんなぁ。
ネット上でも感想文はほんのちびっと。
http://audrey-hotaru.blog.so-net.ne.jp/2009-04-30
それはともかく、話の最後では、新婚旅行から帰ってそのまま上野の国会図書館にとびこんで〆切り原稿を書いたとある。
正美さんはエロ雑学著作家でもあり、雑学は、実は図書館で涵養できるといふ通則にかなっとるのー。

*1:緑のスーツとか着ていたらすぃ〜