レファレンス余話として1984年5月の事例が紹介されている。「旧軍港市転換法」なる昭和25年の法律の解説を読みたいというもの。ちゃんと探したけど法学文献にはでなかったそうな。翌日、法学以外の文献にあたったら、大蔵省の出した財政史に載ってたのと、軍港を持ってた市の自治体市をみたら、福原忠男・中野哲夫『旧軍港市転換法』なるモノグラフが引用されてたと判明。その著者に電話しその本の寄贈を依頼したところ、
同氏は大変喜ばれ、「その本は手もとには1冊しかないが、国会図書館で多くの方に利用して貰えるのなら、帰京次第差し上げる」と快諾された。
という。
今回の事例のように、レファレンスを処理して依頼者から喜ばれ、そのレファレンスが契機となって当館の蔵書が豊かになることは、レファレンス・ライブラリアン冥利につきるケースであるといえるであろう。
と、法律政治課の住谷雄幸(たけし)と小林正はいう。
- 住谷雄幸,小林正 レファレンス余話 参考書誌研究(29)1985-03
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3051210_po_29-10.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
この事例紹介のオモシロいところは。
レファレンス処理をしていく過程で、当然のことながら欠本が見つかることがある。納本図書館がレファレンス実務をやる意義がありとせば――実はやらなくてもよい――、かういふところにこそあるのだらうと思ってゐたが、その実例がちゃんと記録にのこってをったとは(@_@;) むかしはちゃんとやってたんだねぇ(σ・∀・)σ いまは連絡しても100年もまへの本に1ページ欠けだから古本屋に突っ返したとか、大バカだとなげいてをる人がゐると聞いた。