書物蔵

古本オモシロガリズム

月給は本代ですよ先生!(σ・∀・)σ

『フルボン』の古書店主が、非常時に古書マニアの追悼録を出すこと

『フルボン』の赤春堂こと山路信之介のことを調べたら、この人も十分オモシロい古本屋なんだけど、赤春堂のまはりの人々がもっとオモシロなことに気づいた。
まづはこちら。

  • 『故形田藤太遺篇論叢並著作年表・代々木山房形田文庫蔵書目録』 東京武蔵野書院 1940.6

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1052181
ショージキ、かただ・とうたなる人物は全然知らんかったが、なんとこの形田、明治文学の初版や雑誌の大コレクターなのだった。斎号は代々木山房。
いちおー近代文学大事典にも立項されとるが、一高教授となったまま、大学においでといはれても行かず、本を集めまくった人。どうやら古書店・古書展に通えなくなるので、地方大学に行きたくなかったようにわちきには思はれる(σ^〜^) どこぞにもをるのー。同僚に、

月給は本代ですよ先生

と言ってゐたとか、「地方の本屋から目録が来る。欲しいものがあるとすぐ電報を打って買ふと云ふ具合であった」(p.4)
上記の追悼年表、目録には追悼録と本人の書いたもの、あと代々木山房の蔵書目録が載っているが、そのなかから、本人の掘り出し譚。

屑屋の反故から樋口一葉

或日、秋晴れの一日、午後三時頃、場所は学校の側の光ヶ丘の坂道、屑屋が買った品物を街路の片端にブチまけてゐるのに出遭った。同僚のS君もふりかへった。もう僕の手はあさましくも手当たり次第上から下へ屑物(なって云ったって上から下まで皆本と雑誌ばかりなんだよ笑ふまいぞよ)の中をかき廻してゐた。かさばった合本物「武蔵野」その他〜

と、半井桃水樋口一葉の文章がのった「武蔵野」1編 (明25.3)-3編 (明25.7)を掘り出した話などが載っていて、古本好きにはオモシロい。ってか、これ立派に古本ボンぢゃ。
ちなみにこの時、同僚Sは平安朝文学の専門家であきれて見てたみたい。形田も、明治文学なんて「白っぽい」ものは平安文学に比べ研究にならないぐらいのことを書いている。
いま日本の古本屋見たら、あきつ書店さんが30,240円をつけてますの(゜〜゜ )
このプレミアな薄物を出版することになったのは、赤春堂の音頭取りがあったからとこの追悼録自体に書いてある。時局柄、出すのが大変だったともある。
まあ結局、子供の養育費にせんと奥さんが蔵書を売り払ってしまふのだけれど。
ググブクると、反町が売立てについてなんか書いとるようだ。
いいなぁ(*´д`)ノ
わちきも同僚にかういはうっとヾ(*´∀`*)ノ゛キャッキャ

月給はフルボン代ですよ先生!(σ・∀・)σ