書物蔵

古本オモシロガリズム

さすが佐藤たくみ先生、いいこといふなぁ:雑誌は個人で管理できない

さういへば、オタどんが、この雑誌読んどったなぁとて不図てにとりたる雑誌(といっても、半分は古書目録)をぱらぱらしていたら、かようなる一節が目にとびこんできた。

そもそも図書館で重要なものは、いわゆる図書ではなく雑誌である。雑誌は個人で管理することが不可能だからである。
佐藤卓己「メディア研究者の古雑誌論」『京古本や往来』(97)p.1-2(H15.4)

さすが佐藤たくみ先生、いいこといふなぁ。
これは佐藤先生がつとめてた同志社大学に、戦前キングの揃いがあったのをふまえての発言。その戦前分大揃いがあったので『キングの時代』てふ著書も刊行できたとのこと。

同志社大学の蔵書はカストリ雑誌研究でも優れた仕事をされた故山本明先生が、古本屋で見つけ(本来なら高額図書は学科会議の承認が必要なはずだが)その場で即決されたと聞いている。

画像は故山本明先生
「会議の承認が〜」とか「会社の公印が〜」とか言っているようではそも、古書の購入などできぬ、と、こーゆーわけですな(って、実証されとるね)。
戦後分の大ぞろいはまだ(2003年当時)ないといふことで、もし戦後分を一括で持ってくれたら即決しますよぐらいのことを先生はいふてをる。
まったくの同感である。
わちきもかねがね、長期的には立派な単行本は捨てちゃっていい、雑誌・新聞、パンフ、雑書をこそ保存すべしと思ふてをるのぢゃ。
けど、図書館業界は長期的に逆のことをしてきたね。固い単行本ばかり大切にし、雑誌、新聞、パンフ、雑書はどんどこ捨ててきた。
たとへばさ。
ムックってあるでしょ。あれ、結構重要。固いまじめな本に載ってないようなことが載ってたりする。一次的な利用として、庶民が使いつぶす読みつぶすのはもちろん良いことなんだけど、整理して長期保存すれば、当座のレファレンス・サービスにも、将来の各種研究にも役立つ。おなじことは、「コンビニ本」にも言える。
けど、ちゃんと整理したり保存したりするところがないんだよなぁ。

それから

おたどんにならって、パラパラしとったら、ちとおもしろきネタもひろえたが、そのうちのひとつに、読書猿のくるぶし氏が、どうやら学生時代に下鴨あたりでバイトしとったらしいことがわかった。