書物蔵

古本オモシロガリズム

出版研究にのったちとオモシロな図書館情報学論文につっこみ(σ^〜^)σ

2000年代はむしろ感心せず(´・ω・`)

なんかモヤモヤするので、『出版研究』なる雑誌とハそも如何なるものにや、とて、数年分を通覧。
んー、あまり感心せず。研究ノート的なものが多いなぁ。って、べつにノートは好きなんだけれど、
ちとオモシロかったのは、出版研究といふよか図書館情報学のつぎの論文。

  • 木下朋美,中園長新「『週刊新刊全点案内』における新刊書籍の掲載状況」『出版研究」(42) 2011 p.23-45

図書館員しか見ないTRCの全点リストに、ほんとうに全点のってるかどうかを調べたもの。
TRCのリストと、Amazonのデータを、11ヶ月分(2008.4〜2009.2)、くらべてみましたよと。
で。
結果は、誤差らしきものを除いて全部のってたよ、というもの。
もちろん、ほんとうに全部100%ではなくて、載ってたのはアマゾン100にたいしてTRC60%。
ん?(・ω・。) 全部ぢゃないぢゃんか、ってか。
TRCのリストには、その凡例に、掲載しませんよ、と明示されてる類型があって、学参、資格試験もの、楽譜集、ポルノ、ドリルの5ジャンルが載っていないのだそうな。
で、誤差をのぞいて、載ってなかった4割は、この5ジャンルに該当したというわけ。
まあ、作業的、手続き的な部分(=ビビリオミミクリ*1!)は、フツーの人が読んで面白くはないけれど。
この論文でひとつ気になったのは、「是非を問う」という表現。政策論ならぬ学術なれバ、かような論点は不要です。

図書館情報学界全体の知的怠惰?

それよかもっとエクスキューズをだすべきと思ったのハ、Amazonデータを比較対象にする際のエクスキューズ。
注で、いままでみんな(ってか図情系の一部学者が)全国書誌を網羅率でうはまわる網羅的書誌として使ってきたから使うといったことが書いてあるが、実ハ、これだけではエクスキューズとしては不足だと思ふ。
といふのも、Amazon書誌の生成過程について日本学会でまともに記述したものって無いでしょ(σ・∀・)σ
たとへばサ。
これは実態とはちがふだらうと思うけれど、あへて講学上の問題として仮にこうであったら、この論文全体が無意味になる、という仮定をしてみると。

Amazon書誌はTRCがつくっている(ウソ)

としたらば、Amazon書誌とTRC書誌を比べる意味がまるでなくなるでしょ(σ^〜^)σ
一方で、Amazon書誌は、そりゃ網羅率は高いかもしらんが、どーやって生成されとるのか、この論文でも(まあ、他の論文でもさうだが)、概説すら、ないでしょ。
もし、

Amazon書誌はTRCの全点案内に、TRCが排除したといふ5ジャンルをTRCが足してTRCがAmazonに納入したもの(ウソ)

といふのであれバ、AmazonとTRC(5ジャンル排除)との平仄をあわせたやうな一致率の説明がでけちゃふでしょ(σ・∀・)σ
Amazonブラックボックスにしたまま、比較するといふのは、もし、図書館情報学界のみんながやってるから、てふのであれバ、学界のみんな様の知的怠惰では(σ^〜^)σ
もちろん、Amazonは民間企業なれバ、べつに質問にぜんぶさきまはりして答へねばならん義務などないが(まぁ国立全国書誌作成機関なれバ、質問にこたふる義務はあるが、あれだって聞かれたことにしか答へる義務はないからねぇ(゜〜゜ ) 質問は工夫せねばならんヨ、特にアタマのいい人が広報担当であるバヤイには(σ・∀・)σ)、流通データも含め、全国的書誌データをつくれる会社なんて、4,5個しかないんだから、データを分析すれば、出自はおのづとわかるんぢゃあ、ないの(。・_・。)ノ
もちろん逆に、TRCに「天地神明に誓って! Amazonに書誌データを収めてをりませぬ」と証言をとれれば、比べる前提にはなるけど(*´▽`)
で、

どうやら、Amazon書誌データは、これとあれの合成らしい

ぐらいのことが前提にならんと、TRC書誌とくらべる前提がなりたたない。学界がみんながやってるから、とゆーのは、常識論としてはいいけれど、学としてはいかがか。。。
ちなみに、Amazon書誌データの古書のジャンルは、全国書誌データの1990年代に日外に下げ渡されたものが提供されとるといふやうに、わちきには見えるよ(σ^〜^)σ
なぜって、全国書誌作成機関の都合で製本されて変な書誌単位になったヘンテコ書誌がマンマのってんだもん(´ヘ`;)とほほ

*1:bibliometricsのわちき的表現ぢゃ(。・_・。)ノ