書物蔵

古本オモシロガリズム

あーあ、学術論文

根本先生らが、有川浩図書館戦争」シリーズを題材に、かなりトンチンカンな論文を日本図書館情報学会の学会誌に発表していた。宣言成立時の歴史的経緯と、図書館戦争は関係ないのに。典型的な並列主題にしかなってない。しかし、こんなもん査読「論文」としてだしちゃう学会ってナニ? って、それだけのもんでしかないということか。

いや学術で小説を取り上げるなといってるんぢゃない。きちんと論として成り立つかどうかの問題。根本先生、ほんとはもっときちんと批判ないし指導できる人のはずなのに…
わちきなどは、むしろあの小説の設定にある図書館行政のからくりが、改正図書館令(昭8)の中央図書館制度や、戦後の支部図書館制度になぞらえられる点に注目したいところ。
図書館戦争シリーズにみる改正図書館令及び支部図書館制度の影響」
なとどいうフェイク論文でも書いちゃおうかなぁ…などと。
もちろん、たんに似ているだけで、影響関係はまるでなし。有川著は、文末に図書館学の参考文献を律儀に挙げていたけど、改正図書館令(の一部)とか、現在でも司書課程でろくに教えない国会の支部制度など。
でもほんとにまじめに論文書くんなら、JLA理論誌『現代の図書館』編集長須永, 和之 (1961-)‖スナガ,カズユキ先生の「政治と文学」をごっちゃにしたプロレタリア理論のような『図書館戦争』批判と、それをまにうけた有川先生ご本人の、第二巻における図書館の裏切り者「砂川」(≒須永)というキャラクターの話とか。いかようにも料理できるでしょう。20世紀の宣言と21世紀の小説を比較なんかせんでも、現に21世紀の生きてる図書館学者が作者本人を怒らせて、作中に出てくるぢゃないすか。フィクションに現実がニョキっとカヲをだしとるっちゅー、こんなオモロイねたを、なぜ誰も取り上げぬ。