書物蔵

古本オモシロガリズム

民間地図出版史

ご存知と思いますが…
戦前期のよく見えない出版界の状況は、戦中期の統制によって把握できるのです。
んで。
火保図がらみで民間地図出版の歴史を調べ(ようと)したことがあったのぢゃが、一部、商工地図などでオモシロな研究があるほかは、研究はあんま進んでないみたい。
とにもかくにも、民間地図出版界、その全体のスケッチをせねばということで、つぎの統制団体につき調べねばならんのじゃが…

  • 日本統制地図株式会社(昭和15.11.1 - 昭和19) ※民間地図出版社13社が参加。地図出版もするが、約100社あった地図出版社の「地図検認」(次項参照)申請の代行を独占する。
  • 日本地図株式会社(昭和19.8.24 - ) ※日本唯一の民間地図出版会社。それまで存続していた地図出版社や出版社・新聞社の地図部門、約80社を統合。

当座つかえる本が次のものしかない。

  • 「地圖」が語る日本の歴史 / 菊地正浩著 . -- 暁印書館 , 2007.4 (N)291.018

「地圖」が語る日本の歴史―大東亜戦争終結前後の測量・地図史秘話

「地圖」が語る日本の歴史―大東亜戦争終結前後の測量・地図史秘話

うーん、うーんである。菊池さんってば「秘史」という言葉を使いすぎ(^-^;)

地図の「検認」ってなーに?

ちなみに地図の「検認」ってーのは、「検」と「認」と「無」の3つにグレードづけすること。検は次版改訂を条件に出版してよいというもの。認は出版してよいというもの。この2つが出版できて、無だと出版はだめということ。
地図は普通出版物と異なって検や認の判定がでると許可書が発給され、地図の1部ごとに(検)(認)といった字が許可番号と一緒に刷り込まれた印紙を貼付せねばならない。実際、現在、古書展などで現認できる戦時中の地図にはこの印紙が貼られている。


太平洋戦争中に作られた民間の地図 (特集 地図と写真で見る日本の空襲--きく まなぶ つたえる) / 菊地 正浩
Z8-870 地図中心. (通号 399) [2005.12] 13〜16
戦中・戦後の地図界の話 / 菊地 正浩
Z71-C718 古地図研究. (通号 313) [2005.4] 20〜12