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古本オモシロガリズム

普通出版物の定義

出版警察概観』(昭和7)を見てたら、復刻版p.196の表「最近十年間に於ける普通出版物納本数年表」にこんな記述が。

〔前の年次の報告書で〕「普通出版物」とは、出版法に依る出版物中、同法第二条但書に依る雑誌、及び官版を除外したるものを指称し、即ち本表に於ける私版に該当するものである。

つまり、「概観」の昭和6年版では普通出版物に官庁資料もカウントしていたが、7年版では入れなくなったということ。うーん、図書課員自身によってさえ、(実定法上でなく)分析のための概念規定は随時、変わってしまうということですな。
で、つぎのページ見ると、「昭和七年度に於ける普通出版物納本数形態別月表」なるものがあり、「普通出版物」の、(標準列挙順序でいう)フォーム別下位概念がわかる。
こんな感じかしら。

普通出版物
 私版(今でいう民間出版物)
  単行本
  リーフレット・パンフレット
  ビラ
  写真、玩具、地図、図画、楽譜類
 官版(今でいう官庁資料。当時、地方団体のものは民間扱い)

これを、同時期の全体像にくっつけるとこんな感じかな。

一般出版物
 新聞紙
  新聞紙
  通信
 雑誌
  新聞雑誌
  出版雑誌
 普通出版物
  私版(今でいう民間出版物)
   単行本
   リーフレット・パンフレット
   宣伝印刷物 例)ビラ
   写真、玩具、地図、図画、楽譜類
  官版(今でいう官庁資料。当時、地方団体のものは民間扱い)
[届出不要の出版物・印刷物]
 書簡、通信、報告
 社則、塾則
 引札(チラシ)
 諸芸ノ番附
 諸種ノ用紙
 証書
 写真
[特殊な出版物]
 守札
 暦
[印刷物でないもの]
 不穏文書 例)手書きの檄文
 蓄音機レコード
[地下出版]
 春画
 淫本