書物蔵

古本オモシロガリズム

ヱほんの奥付・表紙統制について

『出版年鑑』改め『書籍年鑑(昭和17年版)』にオモシロいことが書いてある。p.926)
「日本児童絵本研究会」という出文協の関連団体らしいものが出した内部メモの類か。

「コドモ絵本の副題廃止其他に就いて」(昭和十六年五月)

内容は、副題をつけると、(内務省・情報局によって?)定期刊行物と見なされ、(雑誌としての?)納本が必要になるから気をつけろ、というもの。定期刊行物になっちゃったら、文部省推薦の候補にもなれないんだとか。
さらに、表紙や奥付について細かく指示がある。
表紙には、画家名、作家名、編集企画者名を書くこと。位置は表題の近く。
対象年齢を明示。かならず表紙に。漢数字かアラビア数字で。デザイン文字はだめ。
出版社名を裏表紙に、二号活字より小さい大きさで。表紙に入れてもいいが、その場合は下部。
奥付 大きさは2寸×3寸以内。場所は裏表紙その他適宜。
修正版、訂正版はかならず奥付に表記。
出版社のほうで分類する必要があれば、分類マークをつけてもいいが、奥付内につけろ。
あと、

「『畫』と「奥付」に就いて」(昭和十七年一月)

というものもあり、表紙に○○画とする場合、正字の「畫」にすることや、「ヱ」「ゑ」の場合、画家名もおなじ仮名にすること、奥付の名前に「フリガナ」をつけろ、なんかもある。ちなみに本文などにふりがなをつけるのは原則禁止ね。これは、昭和10年内務省による示達、通称「児童読物浄化令」によるもの。
奥付については、研究の蓄積がほとんどないんだよなぁ。