日本書の奥付にある著者略歴欄はいつからあるのか?という疑問が出ては消えていく。
昭和前期までの本は作者や訳者のプロフィールが付いていないことが多く作者が謎な場合がかなりある。いつごろから付きはじめたのだろうか?
— Theopotamos (Kamikawa)@4/4鶴見俊輔を読む会企画中 (@Theopotamos) 2021年4月20日
奥付研究はようやく注目を浴びつつある。
出版條例1876以來、表紙は雅號で奧附のみ實名の慣行もあったhttps://t.co/pMwPczQu6n。
— 森 洋介 (@livresque2) 2021年2月16日
近代書誌學的な奧附論では、田中栞「本の奥付は信用できない」「本の奥付は信用できない【上級編】」https://t.co/zTzfPhxNZb等もある。『書物蔵』「奥付研究の解題書誌(刊行年順)」https://t.co/gZPRh4qM7j。
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11年まえ一度、先行文献をまとめたこともあるね。
shomotsugura.hatenablog.com
奥付ページはいろんな要素からできているんだが、その一部である著者略歴欄については3年まえ、規範の出どころにいついて文献が出ている。
これによると、
出文協の 1942 年 12 月 9 日の会議でこれを各 社に要請することに決まり、「書籍に編著者又は訳者の略歴掲載要項」というものがつくられ、1943 年 1 月 21 日以降企画の書籍につき、編著者、訳者の略歴を奥付上部等に記載するよう実際に広報されていたことがわかった(「書籍に編著者又は訳者の略歴掲載について」『出版文化』(43)p.7(1942.12.21))。
という。
要するに出版文化協会が、義務でないけど要請として昭和18年1月末から新規企画につけろ、といっていた。まぁ実際についたのは翌月あたりだろうねぇ…
出文協自身は「要項」の目的は
読者が編著者又は訳者の略歴を知ることが出来れば、其の書籍の内容と特質とを概念的につかんで其の選択に便宜を与へるのみならず読書指導の一助にも良効果を齎すものである
としている。要するに、書店で本を買う人に奥付を読ませて、正しい購入決定をさせる、とうことと、図書館その他がやっていた読書指導に役立つ、という。
小林は「同時期に始めた書籍の買切制をふまえての措置だったのではあるまいか。」とも指摘している。