書物蔵

古本オモシロガリズム

卓見は外部からふってくる:件名とレファレンサー

意外にも『図書館界』にオモシロ記事が。

いやサ、『界』ってば、閲覧系のトンデモ記事と、整理系のマトモ記事がさみだれ式にのるフシギな「学術誌」なのだわさ。もちろん、それぞれの研究グループのしわざなんだけど、ぢゃあ、整理系が免責されるかというと、ちやうど、帝國陸軍はトンデモで帝國海軍はまともで、ぢゃあ、帝國日本を免責すべきかといへば、そうでないのとおなじだったりもする(σ^〜^)

システム屋さんの標目擁護説

それはそうと。
「情報組織化研究グループ」の「月例会」なるものの「報告」記事が、ヒジョーにオモシロであった。
ネットにも参加者のメモがきがあるが。
http://blog.goo.ne.jp/kuboyan_at_pitt/e/d29c0e5518d84b59bcbf310df6f48ce0
こっちに、同文の事務局メモがあり、わちきが読んだのはこれの紙版『図書館界』62(3)p.269-270
http://www.tezuka-gu.ac.jp/public/seiken/meeting/2010/201006.html
わちきはこれをこう読んだ。

  • Ex Libris社のAlephは、データ作成にはまあまあだが、出力=OPACとしてはイマイチでPrimoを使った。
  • KOは、NACSIS-CATから離脱(ILLは参加)したときに、デファクトスタンダードであるUSMARC(現・MARC21)フォーマットに切り替えたが、これが結果としてよかった。
  • 「書誌データにおいて、記述に注意が偏り、コード情報が軽視されている。デジタル環境下での検索では分類・件名等も含めて各種コード情報が大変重要であり、もっと重視されるべきである。」御意。ハゲシク同意、禿同である(`・ω・´)ゝ

と、(発表者は)システム屋さんで標目をまともに評価する人にはじめて出会った思ひでR。たいていのシステム屋さんは書誌DB全体をつまらぬものとしか見ないからねぇ。

ハイブリッド図書館の誤解

けど、サスガ(゚∀゚ )アヒャ と思ったのは、最後の一文。

ハイブリッド図書館とは、モノと電子の併存を続けることではない。できる限り電子に移行していく役割を図書館が担うことである。図書館は、学術情報リソースをインターネット上に展開していく役割を担わなければ、次の時代を生きていけない。

「ハイブリッド図書館とは、モノと電子の併存を続けることではない」というのは卓見じゃござんせんか。
わちき自信は紙モノ大好き派なれど、こと、研究や調査、つまりレファレンス使用に関しては「できる限り」、電子化していくというか、基本的にはレファレンサーはネット世界に棲んで、紙モノ言説の(密)輸入業者になるべきと思うておる。
そうしてはじめて、絶対不敗の地位を、情報化社会においてライブアリアンは保てるだろう。

絶対国防圏の設定法

これが、紙世界に棲んで、お余り(ボランティア)分をネットに投入という現在の図式では、つねに負けつづけるであろう。ミッドウェイで負け、グァダルクヮナルで負け、マリアナで負け、フイリッピンで負け、台湾沖で負け、沖縄で市民を巻き添えに負け、トーキョー、廣島、長崎と無辜の民を殺傷され、無条件降伏においこまれて国体もあやうくなるであらう。
「米国(の大学)で対面レファサービスが減ってさみちい…(´・ω・`)」という記事が出版ニュースやずぼんに載ってたけど、そんなのアタリマエだのクラッカーぢゃ。
調べ物の客はネットにワンサと並んでをるではない乎!
しかるにネットは、たまたまヒマな専門家が答えてくれている調べモノ以外は、すべて、ナシのつぶてかトンデモ回答でしかないではないか。
紙モノをウラで(=図書の館というヴァーチャル世界から見ればウラ)(密)輸入できるライブラリアンならば、すべての質問にまちがいではない*1答えを出すことができようぞ!`・ω・´)o
絶対不敗の体制ぢゃ。絶対国防圏は、南洋や満洲に設定してはダメじゃ。帝都のウラ世界(リアルからみればウラ)に結界をはってこそ、リアル紙モノ世界が護持できるのぢゃ。
と、ワケワカランこーふんをしてすまった(^-^;)
もちろん、ここでの「図書館」は、「調査研究」図書館、「大学院大学」図書館であって、「場としての」利用が重要な学部図書館や公共図書館ではないのでお気をつけ。

あわてて付け加えるけど、

上記議論で気をつけたいのは、紙モノを十分に知悉してこそのネット・レファレンサーである点。
よく「ネットだけでなんでもできる」といふナンチャッテ司書クラークがいるけど、これは超おバカ説。そのネットなるものは、エンドユーザがほぼ同じか(大企業社員なら)もっと有利な条件のもとに使えるわけで、ネットだけしか使わなければ、客と同じか劣位の環境でしかないんだから、司書がネット・情報ブローカーとしては1文も稼げないのは理のトーゼンでせう。
紙モノを知悉していればこそ、レファレンス・コレクションのうち最後の1冊がネットに入るまで、紙モノの密輸入で司書はネット世界で喰っていけるし、ぢゃあ、最後の1冊の最後の1ページが電子化されたときには、電子化時の組織体系(分類・件名)の管理者として、これまた喰っていけたりもするという… なんという悪どいわちきであろうかの(^-^;)
であるからして、旧態依然だからとて(それは事実だが)いまここで分類・件名を放棄するのはネットでレファレンサーが生きていく手段を放棄することでもあるのだ、とゆーのはここだけのヒミツ(σ^〜^)

*1:ほんとうの正解は専門家しかだせんのは、これはあたりまえ。