書物蔵

古本オモシロガリズム

ふしぎな分類・件名の冷遇ぶり

こんな記事を三田、じゃなかた見た。

創活ノート 第28話「国会図書館」(1/4):CodeZine
http://b.hatena.ne.jp/entry/codezine.jp/article/detail/5449

NDL-OPACを使った書庫出納システムについて
「なかなか使いやすかったのですが、不便だと感じた点もありました」
「それは借りたい本のリストがないと、何も探せないことです」
と言って、著者は、利用情報によるリンク(アマゾンに実装されている「他の人はこれも買っています」ってやつ)をNDL-OPACに実装せよ、と言っている。
んー(-∀-;)
端的にいって、OPACの件名・分類をつかえばいいことじゃないかしら(σ・∀・)
「借りたい(借りるべき)本のリスト」なぞ、あっとゆーまにできますよ。
それに本質的問題点としてひとついいかしら。
上記の機能が実装されたとして。
実装されて始めての入館者はその機能の恩恵には浴せないよね。絶対に。
もちろん、利用する人のほとんどいないジャンルの本をみる人も同様。
さらに同様に。
関連文献を十分に知悉している人(賢者)のあとで使う人しか、かようなる機能は意味をなさない。
さらにさらに。
あたらしく収まった本はつねにおすすめされない。賢者がそれをつかうあとでしかおすすめされない。
もちろん、それはそーゆーものとして使えばいいわけだけど。
分類・件名をつかえば、いっとう最初の登館者でも恩恵によくせるし、あたらしく収まる本もつねに閲覧候補リストにあがってくるのだ。
最初の登館者が、べつに賢者でなく、フツー(の読み書きができるひと)であれば、すべての本、すべての新着本について同様にリストにあがってくる。
もちろん、いまのインターフェイスでは分類・件名が使えないというのは事実。
でも、人気のあるジャンルでだけ有効で、前衛に大衆がつき従う形にしかならない「他の人はこれも見ています」機能を実装するよりも、人気にかかわらず、知りたいと思った最初の個人が確実につかえる分類・件名をつかえる機能を実装するほうが、価値的には優先されると思うがの。
ってか、こんなことは1990年代に図書館研究所がJ-BISCの利用調査から明らかにしていたことでは(σ・∀・)
図書館情報学の研究者は、研究者だけあって本来の意味での開発をしてくれんのだよねぇ。
ん?(・ω・。)
研究者は開発もできるはずだってか(σ^〜^)
ノン、断じてノンぢゃ
研究は選択肢を増やしていく行為、開発は選択肢を減らしていく行為で逆さだよ。
だから、research & developmentと英語でもちがう概念を並列的にセット化している(同類の行為なら、1語で代表させられる)。
もちろん、十分によい製品をつくるには、その前段階として十分に選択肢をふやしておかねばならないが。
あーもできるんぢゃないか、こーもできるんぢゃないか、と移り気でつまみ食いをする性格が研究者で、そーかもしれないけど、いろいろ考えると、このほうがいいよね、と選んでいくのが開発。
選択肢をふやしっぱなし、試作品をつくりっぱなしの図書館情報学者はごろごろしているだろうが、「この、長く使われたタイトで現に役に立っている座右宝のようなシステムを作ったのは私です」とゆーよーな図書館情報学者をわちきは知らない(´・ω・`)

現行システム下のあらまほしき展開

それに、ギョーカイ的にはこのユーザさんは、ちかくの司書に直接、

こんなんぢゃ、すでに知っている本しか見られないんですけど

と文句(質問)をすればよかったとゆーことになる。
そんな文句を聞いたなら、「(あ、これは資料組織法概論にいう<既知文献>と<未知文献>の話だわい)」とすぐ思いつき、

なにか自分の知っている本についている、キーワードや分類番号をクリックすれば、おなじような本がでてきますヨ

とすぐ教えてくれたはず司書ならば。

なんだか、たくさん出すぎてよくわかんないんですけど

と再度聞いたら、

新書、とか全書とタイトルにいれて入門書だけのリストをつくるか、刊行年順にならびかえて新しいものから見るとかしたらどうでしょう

と教えてくれるはず司書ならば。

そんな、お堅いジャンルの本じゃなくて、もっとバカバカしい本をパラ見したいんスけど

といったら、「(ん?(・ω・。) あぁこりゃあ組織論における<bias phase>だから分類・件名には反映されないな*1。特殊な書誌をつかうか、場合によっちゃあ雑誌記事を紹介せねば)」とすぐ思いつき、

左様ですか。でしたら、たとえば先にリストとして使える『アホアホ本エクスポ』といった本を手に入れて、そこに載っている書名から検索するとよいですよ

と、レファレンス・ツールをかませた利用法を教えてくれるはず司書ならば。
ん?(・ω・。)
もうそんな司書、どこにもおらんってか(^-^;)
そうか、そうなら、やっぱシステムで解決すべぇか。

*1:現行NDC序文には逆さに解釈される文章が書いてある。これを以てわちきは現行分類委員会に不信任をつきつける次第。