書物蔵

古本オモシロガリズム

芋貝山房の正体を知る人物…

いま再読中の『古本屋探偵の事件簿』 モデルは?

バブルまっさかりの1980年代、わちきも神保町をウゴウゴしとったことを思ひ出し、うたた隔世の感あり。
このミステリ、出た時かなり好評だったらしい。

「古本屋回りの好きな愛書家でもある人は絶対買うべき、必読本なり」とある。
で、かなりまへ森さんに云はれたんだけど、これらのモデル一覧がないといふ話に。
ご存知のとーり、この小説はほとんどすべての事物にモデルがある。

主人公とか

たとえば、紀田さん自身が主人公のモデルについて明かしてゐる。

古本屋探偵の誕生と死 / 紀田順一郎書斎の四季HP
http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2010/020701/index.html

雑誌『幻影城』の編集長だった島崎博という人がモデルとあり。
国会の名称典拠じゃあ、島崎, 博‖シマザキ,ヒロシ、と生没年がないアヤシゲな人物になってをるが(そして実際、国内では1980年代行方不明になってをったといふが)、ありがたいことに、サブカルについては詳細をきはめるウィキペに立項されている人物である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E5%B4%8E%E5%8D%9A

いまやミステリ愛好家の間で伝説的な存在となっている島崎氏は、一九七〇年代の半ばごろ、神田神保町古書店を営んでいた。当時都営地下鉄線の神保町駅が開通したのを機に靖国通りに建設された、小宮山書店ビルの中二階である。

舞台が小宮山書店だったのはわかってたけど、具体的にモデルとなった店があったとは知らなんだ。

 かねてミステリ本の収集家として知られた島崎氏が「本を集めるには古本屋になってしまうのが一番」という考えで開業した店である。小さな貸室内で他の店と同居にせよ、大衆文学を含めて二千冊ほどが並べられ、毎日のようにウブい品(保存状態のよい珍本)がザクザク入荷するので、店はたちまちコレクターの梁山泊となり、店主対コレクターの虚々実々の駆け引きなども目にしているうちに、私は古書収集の世界を小説化したらと思いついた。主人公はさしずめ私のような脱サラ人間である。

で、主人公のほかにもいく人か人物のモデルもおり、最初に出てくる詩書コレクターは、

Kという詩書収集家で、見かけは実直ななサラリーマンだが、「書籍収集のコツは殺意である」という物騒な考えの持主。

をモデルにしたという。小○謙○というのはここだけの秘密ね。○石本徒然草ぢゃ。
と、いう調子で、じつはほとんどすべてにモデルがあるらしいんだけれど、その対応表がないのだ(´・ω・`)
紀田先生!`・ω・´)o 一覧表を発表してくだされ!

芋貝山房

最後の話で行方不明の出版社主、森田一郎といへば、モデルは「芋小屋山房森山太郎ときたもんだ。
とりあえず、森山太郎について故・米沢嘉博氏の編纂せる『発禁本2』p.42-43「芋小屋山房の職人仕事」によれば。

芋小屋山房は、別名第一組合稀こう文献研究会として会誌「稀書を刊行する一方、性文献の復刻などを行っていた。主催者の森山太郎斎藤昌三に連なる趣味家で、……「稀書」九号では、当局からおとがめを受けた旨の報告と罰金を払ったことが語られている。それからまもなく、彼は謎の失踪を遂げ、多くの伝説が流布されることになった。

ネット上ではここが参考になる。http://kanwa.jp/xxbungaku/Publisher/Sengo/Imogoya/Imogoya.htm
それで、古本屋探偵須藤康平ものでは一番ながい話にでてくる人物のモデル、森山については、やはり不明のままなのだが、森さんが持っていた双葉文庫版『われ巷にて殺されん』に、ちとふしぎな解説がついておる。
それは、ある人物が森山とつきあいはじめたきっかけなどの回想録になっているのだが、その文末にくわしいことは勝田三蛮氏に聞け、ぐらいのことが書いてあるのだわさ。どうやら謎の失踪をとげた森山についての手がかりは、この人物にあるやう…。
ん?(・ω・。) 勝田、三蛮とな?
(´・ω・)ん?
わちき、知っとるよ!(゚∀゚ )アヒャ
読みは、かった・さんばん、あるいは、かった・さんぼーんと読むのじゃ(≧∇≦)ノ
あるときは検印紙蒐集家
あるときは郷土史家のせがれ
あるときは国家公務員特別職
しかしてその実体は!!!?
ってか、じつは『本の周辺』という同人誌もどきに勝田氏が森山太郎につきて書いたものが残ってをるらしい(σ・∀・)

古本屋探偵の死は書狂の死であったというわけ

でも、紀田先生はもう古本屋探偵ものをお書きにならないやう(´・ω・`)

K氏のようなパワフルな収集家が次々と世を去り、小説のヒントになるような人物が影をひそめてしまったという事情も大きい。

(´・ω・)さうか…